2025年10月24日
資格なしでも介護のお仕事はできる?資格がなくても働ける介護業界の仕事内容や給料などを徹底解説!
介護のお仕事には、高い専門性が求められます。そのため、介護関連の資格を取得していないと、介護業界で働くことはできないというイメージを持たれがちです。しかし、実は介護業界のお仕事には、資格を必要としないものもあります。
「資格を持っていないけれど、介護業界で働いてみたい」という方のために、この記事では、資格がなくてもできる介護業界のお仕事について解説します。さらに、資格を持っていない場合のお給料や、「無資格でも可」としている求人の例についても紹介します。
- 資格なしでも介護の業界・現場でお仕事ができる理由
- 資格なしでできる介護業界のお仕事・できないお仕事
- 資格なしで介護業界で働く場合の給料
- 資格なしから介護の資格を取得するには
- 資格がなくても、介護業界で第一歩を踏み出せる
資格なしでも介護の業界・現場でお仕事ができる理由
介護業界のお仕事には、介護関連の資格を持っている人だけができる業務と、必ずしも資格を必要としない業務があります。後者の業務だけなら、資格がなくても介護の業界に就職し、現場で働くことができるのです。
介護の現場では、人材が不足している状態が続いており、厚生労働省では、2040年には、全国で約57万人の介護職が不足すると推計しています(※)。そうした人手不足の背景もあって、介護サービス事業者のなかには、「無資格者OK」の求人を出すところも多く見られます。
資格なしでできる介護業界のお仕事・できないお仕事
では、「資格を持っていなくてもできる」介護業界のお仕事とは、どういったものでしょうか? 介護関連の資格がなくてもできるお仕事の例をいくつか紹介します。
資格がなくても、できるお仕事
生活援助
生活援助とは、要介護者(介護を受ける人)の自宅や、老人ホームなどの居住系介護施設で、要介護者の日常の家事をサポートするお仕事です。例えば、居室の掃除や洗濯、食事の準備や片付け、食料品や日用品の買い物などが、生活援助に含まれます。これらの業務は、介護関連の資格を持っていない人でも行うことができます。
訪問入浴
訪問入浴は、浴槽をのせた専用の入浴車で要介護者の自宅を訪問し、入浴の介助を行う介護サービスです。訪問入浴は、通常、介護関連の有資格者を含む複数のスタッフで行います。そこで、資格を持っていない人にも、着替えや入浴の介助を行うことが、例外的に認められているのです(ただし、事業所によっては、訪問入浴の業務を行うスタッフに、資格の条件を定めている場合があります)。
介護保険外サービス(自費サービス)
要介護者の日常の家事には、介護保険制度が適用されないものもあります。例えば、ペットの世話や、マイカーの洗車、庭の草むしりなどは、介護保険の適用外です。しかし、これらの家事を頼みたいという要介護者のために、要介護者の自費負担でサービスを提供している事業所もあります。こうした介護保険適用外のサポートも、介護関連の資格がなくてもできる業務の1つです。
事務作業・送迎車の運転など
介護の業界には、要介護者を直接的にサポートする「介護」の業務以外にも、さまざまな業務があります。例えば、事業所内での事務作業や、設備の管理、清掃、洗濯、施設までの送迎業務などです。このような、介護の知識やスキルが求められない業務は、資格がなくても行うことができます。
資格を持っていないと、できないお仕事
身体介助
身体介助とは、要介護者の身体に直接触れて行う、食事や着替え、入浴、排せつなどの介助です。介護の資格を持っている人のみが、これらの介助を行うことができます。
ただし、介護施設内で行うサービスで、国家資格を取得している介護福祉士の指示の下であれば、資格を持っていないスタッフも限定的に身体介助を行うことが認められています。
資格なしで介護業界で働く場合の給料
同じ事業所で働いていても、介護関連の資格を持っているか、いないかで、給与の金額に差がある場合もあります。また、事業所によっては、持っている資格の種類に応じて、資格手当が支給されることもあります。厚生労働省の統計によれば、2024(令和6)年度の介護職員の平均給与額(月給)は、資格を持っていない人の平均が290,620円であるのに対し、資格を持っている人の平均は339,960円と、約5万円の差があります。
介護業界の給与水準は、行っている介護サービスの形態などによっても異なるため、一概にこの表のとおりだとは言えません。しかし、概ね、保有資格が上位になるほど、給与水準も高くなると言うことができるでしょう。
介護職員の平均給与額(月給・常勤の者、保有資格別)
| 平均勤続年数 | 平均給与額 | |
|---|---|---|
| 全体 | 9.5年 | 338,200円 |
| 保有資格あり | 9.6年 | 339,960円 |
| 介護福祉士 | 10.4年 | 350,050円 |
| 社会福祉士 | 9.3年 | 397,620円 |
| 介護支援専門員 | 14.0年 | 388,080円 |
| 介護福祉士実務者研修 | 6.9年 | 327,260円 |
| 介護職員初任者研修 | 8.8年 | 324,830円 |
| 保有資格なし | 5.8年 | 290,620円 |
- (厚生労働省「2024(令和6)年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」より引用)
[興味がある方は、こちらをご覧ください]
介護の資格は何がおすすめ?介護のお仕事に就くために必要なおすすめ資格12選!
資格なしから介護の資格を取得するには
介護業界のお仕事のなかには、介護関連の資格を持っていなくてもできるものがあることや、資格がなくても応募できる求人案件もあることを、ここまで紹介してきました。しかし、資格を持っていれば、対応できる業務の幅が大きく広がります。また、給与面で有利になるかもしれません。ぜひ、資格を取得することを前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
可能ならば、「介護職員初任者研修」などの資格を取得してから、介護の業界に就職することが望ましいところです。しかし、先に就職して、働きながら資格の取得を目指したいという人もいるでしょう。働きながら資格取得のための準備をする場合は、勉強に使える時間が限られている状況で、いかに効率的に学べるかが重要なポイントだと言えます。一方で、学んだ知識を実際のお仕事のなかで確認できるというメリットもあります。
なお、介護事業者によっては、資格を持たずに就職した従業員が、働きながら資格取得を目指す場合に、講座の受講費用の一部または全部を会社が負担するといった、資格取得をサポートする制度を設けているところもあります。
[興味がある方は、こちらをご覧ください]
働きながら会社負担で資格が取れる制度
これから介護の資格を取得しようという方に、おすすめの資格
・介護職員初任者研修
介護に関連する資格のなかでも、介護職の入門資格として位置付けられている資格です。
所定の研修を受講・修了して「介護職員初任者研修」の資格を取得すると、無資格ではできない、食事や着替え、入浴介助といった「身体介護」のお仕事ができるようになります。
・介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修よりも、さらに専門性が求められる資格です。
所定の研修を受講・修了し、「介護福祉士実務者研修」の資格を取得すると、訪問介護において、介護サービスの計画を作成したり、実施内容を管理する役割を担う「サービス提供責任者」になることができます。
なお、「介護福祉士実務者研修」は、無資格からでも目指すことはできます。しかし、介護のお仕事の経験がない人には、少しハードルが高いかもしれません。学習の負担などを考えると、最初に「介護職員初任者研修」を取得してから、「介護福祉士実務者研修」に挑戦するほうが、スムーズに取得できるでしょう。
※資格取得に向けた教育講座に興味がある方はこちらをご覧ください。
・介護職員初任者研修
・介護福祉士実務者研修
資格がなくても、介護業界で第一歩を踏み出せる
介護関連の資格を持っていなくても、介護の業界で働くことは可能です。間接的に、介護にかかわることはできるため、お仕事を通じて誰かの役に立ちたいという人ならば、十分にやりがいを感じられるでしょう。
しかし、介護職として働き、専門のスキルを身につけてステップアップを目指すのであれば、資格を取得する必要があります。その場合は、就職する前に資格を取得してから、介護職として働き始めることが理想です。ただし、早く働きたいという人ならば、資格なしでも働ける介護業界のお仕事に就いてから、資格の取得を目指すのも、1つの方法です。
資格を持っていないからと、介護職として働くのを諦めるのではなく、「資格を取得するタイミングが、早いか、遅いか」ぐらいに考えて、前向きにチャレンジすることをおすすめします。
[初回公開日 2021年11月18日]
初任者研修について詳しく知りたい方
講座やお仕事について、直接話を聞きたい方