
2022年02月22日
ホームヘルパー(訪問介護員)とはどんなお仕事?ホームヘルパーになるにはどうすればいい?
ホームヘルパー(訪問介護員)の主なお仕事は、介護が必要な高齢者のご家庭を訪問して、入浴、排せつ、食事、移動などの日常生活の援助を行うことです。ホームヘルパー(訪問介護員)になるには、都道府県または都道府県が指定した研修事業者による研修を受講・修了する必要があり、現在は介護職員初任者研修がホームヘルパー(訪問介護員)の入門資格と位置づけられています。
そこで、お仕事の説明の前に、まずはホームヘルパーになるための資格について解説します。
ホームヘルパー(訪問介護員)とは
ホームヘルパーは訪問介護員の通称で、正式な呼称ではない
ホームヘルパーの介護保険法における正式な名称は「訪問介護員」です。通称のホームヘルパーのほうが世間には浸透していますが、ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事に就こうと考えているのなら、正式名称は知っておきましょう。

介護保険法の改正により、「ホームヘルパー2級」が「介護職員初任者研修」に移行

ホームヘルパー(訪問介護員)になるには、都道府県または都道府県が指定した研修事業者による研修を受け修了することが必要です。介護の基礎知識と技術を備えていることが証明される資格であり、かつては「訪問介護員養成研修2級課程(ホームヘルパー2級講座)」がそれに相当していましたが、2013年の介護保険法の改正により「介護職員初任者研修」に移行されました。
この改正によって、それまで複雑でキャリアパスが不明瞭だった制度が、よりシンプルでわかりやすいものになり、介護職員の入門資格は「介護職員初任者研修」であることが明確になりました。次のステップには「介護福祉士実務者研修」、さらに先のステップに「介護福祉士」という流れをつくることで、成長意欲を高め、知識や技術を定着させることを目指したのです。
介護職員初任者研修は、厚生労働省が定めるカリキュラムを修了し、筆記試験に合格することで取得できます。ホームヘルパー2級と比較すると、こころとからだのしくみ、生活支援技術、高齢化によって増えるとされる「認知症」についても学ぶ、より実践的なカリキュラムで構成されています。
なお、「訪問介護員養成研修2級課程(ホームヘルパー2級講座)」と「介護職員初任者研修」との違いは主に下記のような点です。
訪問介護員養成研修2級課程 (ホームヘルパー2級講座) |
介護職員初任者研修 | |
---|---|---|
学習内容 | 「訪問介護員」を養成するための知識と技術を学ぶ。 実技実習のほか、実際の介護現場で行う施設実習あり。 |
「すべての介護事業所で働く介護職員」を養成するための知識と技術を学ぶ。 実技実習のみで施設実習はなし。 こころとからだのしくみ、生活支援技術の学習が増え、認知症についても学ぶ、より実践的なカリキュラム。 |
学習時間 | 研修時間:130時間 実技実習時間:42時間 施設実習時間:30時間 |
研修時間:130時間 実技実習時間:90時間 施設実習時間:0時間 |
修了試験 | なし | あり |
- ※都道府県によって異なる場合があります。
ホームヘルパー(訪問介護員)になるために必要な資格
ホームヘルパー(訪問介護員)になるために資格は必要?
ホームヘルパー(訪問介護員)になるには、介護職員初任者研修(または、上位資格の介護福祉士実務者研修)の修了が必須です。まずは介護職員初任者研修を受講してホームヘルパー(訪問介護員)への第一歩を踏み出しましょう。
介護福祉士実務者研修、介護福祉士も含めて、キャリアパスにある資格の概要は次のようになっています。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
いくつかある介護関連の資格のなかで、入門的な資格として位置づけられ、介護関連の資格取得を目指す際に、いちばん最初に候補に挙がる資格です。
「介護の基本」「介護・福祉サービスの理解と医療との連携」「介護におけるコミュニケーション技術」「認知症の理解」「こころとからだのしくみと生活支援技術」などの10科目を学び、介護職員として働くために必要な基礎知識と技術を身につけます。講義と演習(実技)を合わせた約130時間の学習を修了することで資格を得ることができ、資格を取得することで、「身体介護」のお仕事を行うことができるようになります。
介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修の上位に位置づけられる資格で、介護福祉士国家試験を受験するための必須条件になっています。
「コミュニケーション技術」「発達と老化の理解」「認知症の理解」「こころとからだのしくみ」などの介護の基本に、「医療的ケア(たん吸引や経管栄養)」を加えた20科目を学び、より専門的・実践的な知識と技術を身につけます。講義と演習(実技)を合わせた約450時間の学習を修了することで資格を得ることができ、資格を取得することで、身体介護などの介助のお仕事に加えて、訪問介護のサービス提供責任者のお仕事を行うことができます。
※すでに介護の資格をお持ちの方は免除科目があり、保有する資格によって、受講期間や受講時間数が短縮されます。
介護福祉士
介護分野で唯一の国家資格です。受験資格があり、大半の受験者は「実務経験ルート」と呼ばれる受験資格(介護職として3年以上かつ540日以上の実務経験+介護福祉士実務者研修修了)を得て、国家試験に臨みます。
取得することで、サービス提供責任者や施設の管理者など、よりマネジメント的なお仕事を行うことができ、業務内容、給与、待遇などでのキャリアアップが期待できます。
ホームヘルパー(訪問介護員)の給料
訪問介護事業所に勤務している介護職員の平均給与額は、厚生労働省の2020(令和2)年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、186,960円~319,140円です。ホームヘルパー(訪問介護員)は、訪問介護事業所以外の介護事業所にも勤務していることがありますが、ホームヘルパー(訪問介護員)の平均的な給料の目安にしてください。また、介護事業所の種類別でみると、次の表のようになっています。
介護職員の平均給与額(月給・常勤の者、サービス種類別、勤務形態別)
2020(令和2)年 | 2019(平成31)年 | 差 | |
---|---|---|---|
全体 | 182,260円~325,550円 | 179,100円~307,430円 | 3,160円~18,120円 |
介護老人福祉施設 | 191,530円~352,930円 | 188,470円~333,460円 | 3,060円~19,470円 |
介護老人保健施設 | 177,670円~341,190円 | 175,020円~323,060円 | 2,650円~18,130円 |
介護療養型医療施設 | 163,130円~321,140円 | 160,850円~306,230円 | 2,280円~14,910円 |
介護医療院 | 168,170円~317,120円 | 164,500円~296,730円 | 3,670円~20,390円 |
訪問介護事業所 | 186,960円~319,140円 | 183,170円~295,080円 | 3,790円~24,060円 |
通所介護事業所 | 180,540円~291,690円 | 177,250円~277,730円 | 3,290円~13,960円 |
通所リハビリテーション事業所 | 175,810円~314,580円 | 173,180円~296,630円 | 2,630円~17,950円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 180,500円~326,570円 | 177,500円~311,950円 | 3,000円~14,620円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 173,080円~301,000円 | 170,230円~285,800円 | 2,850円~15,200円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 170,460円~295,600円 | 167,380円~280,020円 | 3,080円~15,580円 |
- ※上記は、2020(令和2)年度介護従事者処遇状況等調査結果より抜粋して、ニチイが作成
- ※給与額の下限は「処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所」、上限は「特定処遇改善加算(Ⅰ)、(Ⅱ)を取得している事業所」
訪問介護事業所に限らず、介護業界全体で、介護職員の処遇改善のための取り組みが行われており、2019(平成31)年から2020(令和2)年にかけては、全事業所種類平均で約3,000円~18,000円の増額、訪問介護事業所では、約4,000円~24,000円の増額となっています。
ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容、やりがい
ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容
ホームヘルパー(訪問介護員)のお仕事は、大きく「身体介護」「生活援助」の2つに分けられます。
「身体介護」とはお客様の身体に直接触れる介護のことです。例えば、以下のようなものが挙げられます。
・食事介助
・入浴介助
・トイレへの移動や動作の介助
・おむつ交換
・着替えの介助
・体位変換介助
・服薬介助

食事を摂るときの「食事介助」、入浴・シャワーを介助する「入浴介助」、トイレへの移動や動作の介助・おむつ交換といった排せつの介助、着替えの介助などは、身体機能の低下によって自力では行えない日常生活の行為のサポートにあたります。
また、床ずれ予防のための「体位変換介助」や、病院からもらう薬の服薬をサポートする「服薬介助」といった、ADL(日常生活動作)の維持・向上も「身体介護」の仕事内容に含まれます。
これらは、お客様が健康的な日常生活を送ったり、身体機能を向上するうえで欠かせません。ホームヘルパー(訪問介護員)は、こうした事柄に対して、一人ひとりのお客様の身体機能の状態や自力でできる範囲に応じて適切にサポートしています。
一方、「生活援助」とは身体介護以外の日常生活の援助を行うことで、以下のようなものが挙げられます。
・料理や掃除・洗濯
・日用品の買い物
・薬の受け取り
例えば、一人暮らしのお客様の場合、外出や買い物・料理・洗濯などは生活に不可欠ではあるものの、すべてを一人で行うには身体的に負担が大きいこともあります。そのような場合、ホームヘルパー(訪問介護員)がご自宅を訪問して日常生活を援助します。
ただし、お客様本人以外のために行うことや、日常的な家事に該当しない行為は、「生活援助」には当てはまりません。
このようにお客様がいきいきと充実した日常生活を過ごせるように、また、お客様がご自身でできることの維持を目指してサポートするのが、ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容となります。
ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事のやりがい
介護保険サービスの担い手として、ホームヘルパー(訪問介護員)は大きなやりがいのあるお仕事です。お客様がその人らしく、いきいきと毎日を過ごせるように日々の生活を支え、1日1日が充実していくことを一緒に喜びあうことができます。お客様が暮らしやすい環境を整え、感謝の言葉や笑顔に触れることができるのは、ほかのお仕事にはないホームヘルパー(訪問介護員)ならではのやりがいです。さらにホームヘルパー(訪問介護員)としての実績を積み、上位の資格にチャレンジすることで、キャリアアップを実現していくやりがいもあります。詳しく知りたい方は次の記事も読んでみてください。
『介護職員(介護スタッフ)のお仕事』
『サービス提供責任者のお仕事』
『介護福祉士のお仕事』
ホームヘルパー(訪問介護員)として働く魅力
働く時間を選びやすい
ホームヘルパー(訪問介護員)の雇用形態はさまざまです。正社員や契約社員、パート・アルバイトなど自分に合った雇用形態を選択できます。働く時間を自分の都合に合わせやすく、職場環境によっては短時間勤務も可能です。育児などで長期間専業主婦だった方が復職を目指す第一歩として、また、すきま時間に働きたいという場合などにも、自分の生活時間帯に合わせた働き方ができるという点で、ホームヘルパー(訪問介護員)はおすすめのお仕事だと言えます。

働く場所や働き方も多彩
働く時間だけでなく、働く場所や働き方も多彩なのが、ホームヘルパー(訪問介護員)の魅力です。介護事業所に常勤する正社員や契約社員としてだけでなく、非常勤の登録ヘルパーとして、自宅近くで時間に融通を利かせて働くこともできます。プライベートを大切にしながら勤務できるので、子育てとの両立などもしやすく、働く場所と時間をうまく調整することで自分に適した働き方もできます。
ホームヘルパー(訪問介護員)を目指すなら、ニチイの介護職員初任者研修
ホームヘルパー(訪問介護員)を目指すなら、まずは介護職員初任者研修を受講しましょう。これまでに100万人以上ものホームヘルパーを輩出し(※)、実際に全国で13万人のお客様に介護サービスを提供しているニチイなら介護職員初任者研修も安心して受講できます。介護現場をよく知る講師から直接指導を受けることで、即戦力として活躍できるしっかりとした知識と技術が身につきます。受講期間は、最短なら1.5ヵ月程度で修了できます。また、研修(講座)を修了したあとは、ニチイの介護事業所への就業についての相談もできます。ニチイには、全国約1,800ヵ所の介護事業所があり、ホームヘルパー(訪問介護員)が活躍できる職場はもちろん、居住系介護施設の介護職員まで、あなたの条件に合った職場を見つけることもできます。ホームヘルパー(訪問介護員)を目指すなら、ニチイの介護職員初任者研修の受講をぜひ考えてみてください。
(※)ホームヘルパー2級講座および介護職員初任者研修の累計修了生数

[初回公開日 2019年08月28日]