2019年05月27日

サービス提供責任者のお仕事

サービス提供責任者とは

サービス提供責任者は、介護保険サービスのうち、お客様のご自宅に伺って介護を行う「訪問介護サービス」において、お客様一人ひとりに必要な訪問介護サービスを生活の希望に沿って計画立案・実施・管理する責任者で、訪問介護事業所のリーダー的存在だといえます。
具体的には、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに目標設定し、「いつ」「何時間・何分くらい」「何のために」「どのような介護を」「何回行うか」といった訪問介護サービスの詳しい内容を訪問介護計画にまとめ、その計画に基づいて訪問介護員(介護スタッフ)がサービスを提供し、計画どおりにサービスが提供されているかの管理や計画に位置付けた目標の達成状況の評価を行うのが主なお仕事です。車いすのお客様が杖歩行できるようになったり、食事の介助が必要だった方がご自身で食べられるようになるなど、介護計画の目標が達成できたときには、適切な支援ができたという充実感を感じられます。

実際にお客様のご自宅で介護を行う訪問介護員を指導したり、医療など他分野の専門家と連携を取ったりすることも業務のひとつで、訪問介護事業所のリーダー的存在としてのやりがいも大きな魅力だといえます。

  • 訪問介護事業所のリーダー的存在として活躍できる
  • 全国各地で需要が高い仕事である
  • 給与や待遇面で優遇される
  • 人の役に立っているというやりがいを感じられる

サービス提供責任者の職場

サービス提供責任者は、訪問介護サービスを提供する訪問介護事業所で勤務しますが、お客様の介護計画作成のためのアセスメント(事前評価・課題分析)や立案した計画の説明、サービスの実施状況や計画に位置付けた目標の達成状況の評価のためにお客様のご自宅にも伺います。


訪問介護事業所

訪問介護事業所は、訪問介護サービスを行う訪問介護員(介護スタッフ)が在籍する事業所で、全国に約35,600件(※1)あり、社会の高齢化に伴って、年々増加傾向にあります。訪問介護サービスを提供できるのは、必要な設備や人員の要件を満たした訪問介護事業所に限られ、サービス提供責任者の配置(原則として、お客様40名ごとに1人以上配置)は、その要件のひとつです。
サービス提供責任者は、事業所では訪問介護計画の作成などを行うほか、お客様に関係する介護サービス事業所などが出席するサービス担当者会議に出席したり、訪問介護員(介護スタッフ)と面談して、指導を行ったりします。

(※1参照)2021年 介護サービス施設・事業所調査の概況

w_ss_01.jpg

お客様のご自宅

お客様のご自宅を訪問し、訪問介護計画を作成するためのアセスメントや、サービスの提供状況・お客様の身体状況の変化などの確認のほか、訪問介護員(介護スタッフ)として訪問介護計画に位置付けられたサービスの提供を行います。サービス提供責任者は、訪問介護事業所においてお客様40名ごとに1人以上の配置が義務付けられており、1人でおおよそ40名のお客様の把握をします。

w_ss_02.jpg

サービス提供責任者の業務

サービス提供責任者の業務は、お客様のご希望や状況に適した介護サービスを、安全かつ効果的に提供するために的確な計画を立てるとともに、計画に基づいたサービスが実施されるよう、評価や管理を行うことです。


訪問介護計画の作成

訪問介護計画を作成するときは、お客様のご自宅に伺ってご希望などを聞き、「いつまでに何をできるようになりたいか」といったお客様の目標を長期と短期でそれぞれ設定し、「必要な介護・介助は何か」「何曜日の何時に、何分間行うか」など具体的で細かなサービス計画を立てます。
介護サービスのご利用が初めての方の場合や、お身体の状況・環境が変化した場合などには、お客様の居宅サービス計画(ケアプラン)の作成を担当するケアマネジャーが関係者を集め、「サービス担当者会議」を行います。このサービス担当者会議への出席と、会議で話し合われた内容に基づいて訪問介護計画を作成し、お客様やご家族に説明するのも、サービス提供責任者の大切なお仕事です。

w_ss_03.jpg

訪問介護計画はケアプランに基づいて作成しますので、ケアマネジャーとは日ごろから連携を密にし、お客様の心身状況に応じて、ケアプランや訪問介護計画に基づいて提供しているサービスに変更の必要がないかを確認します。
また、訪問介護計画に沿ったサービスが提供できているかを確認するため、短期目標の期限などにお客様のご自宅を訪問し、お身体の状態の変化やサービスに関する意見・希望などを確認します。
このように「訪問介護計画を立て、適切なサービスを提供するとともに、実施状況を確認して必要な修正を行う」という繰り返しが、サービス提供責任者の主な業務だということができるでしょう。


訪問介護員の指導と育成、スケジュールなどの管理

訪問介護員の指導や育成、スケジュールの管理などもサービス提供責任者の重要な業務です。サービスを担当する訪問介護員が困ったり悩んでいるときには相談にのり、不安を解消するための指導を行ったり、スタッフのスキルアップを図るための研修を行ったりします。

また、お客様の希望や生活状況の変化などにより、急きょ訪問介護サービスを提供する必要が生じることもあります。サービス提供責任者は、そうした状況への臨機応変な対応力、判断力が求められるお仕事でもあります。

w_ss_04.jpg

そのほか、医療・看護などとの連携をサービス提供責任者が担うこともあります。チームプレーによってお客様の生活の質が改善・向上していくことは、リーダー的役割を担うサービス提供責任者だからこそのやりがいです。お客様、ケアマネジャー、訪問介護員などから頼りにされ、また、それぞれと良い関係を構築していくために人間力が必要な場面も多く、自分自身の成長を感じる機会の多いお仕事だともいえるかもしれません。

サービス提供責任者の雇用形態・勤務時間

サービス提供責任者には、『非常勤のサービス提供責任者は、常勤の勤務時間の2分の1以上勤務しなければならない』という条件があり、常勤で働いている方以外に、この条件を満たして非常勤で活躍している方もいます。
訪問介護事業所には複数の訪問介護員が在籍していますが、突然の欠勤やトラブルなどが発生すると、常勤のサービス提供責任者が対応しなければならないケースもあります。

w_ss_05.jpg

とっておきたい資格

介護福祉士実務者研修

サービス提供責任者として働くには、具体的な介護計画の立案やスタッフの育成・指導のために、介護の専門的な知識と技術を備えている必要があります。これらを身につけている証明となるのが「介護福祉士実務者研修」の修了です。

介護福祉士実務者研修では、介護の現場で活躍するために必要な専門知識や介護技術、コミュニケーション技術に加え、医療的ケアまで幅広く総合的な介護の知識・技術を習得します。修了するとサービス提供責任者として勤務することが可能になりますが、併せて実務経験を3年以上積めば、介護福祉士国家試験の受験資格を満たすことができます。
介護福祉士実務者研修は保有資格によって受講期間が異なり、無資格の場合で6ヵ月、介護職として働くための資格である介護職員初任者研修やホームヘルパー2級を修了していれば、3~4ヵ月で修了することができます。未経験から介護のお仕事をスタートし、ステップアップを図る場合、介護職員初任者研修を受講して修了後、実務でのキャリアを積みながら介護福祉士実務者研修を受講し、さらには介護福祉士国家試験にチャレンジするのが一般的です。

PAGE TOP