2023年11月01日

介護士と介護福祉士の違いってなに?資格の有無によるお仕事内容や給与・待遇の違いについて解説!

介護のお仕事に従事する人を指す名称としてよく目にする介護士と介護福祉士。でも、その違いがよくわからないという方も多いと思います。それぞれの定義や違いのほか、介護福祉士になるメリットなどを解説します。

介護士・介護福祉士とは

介護士とは

「介護士」という呼び方は、介護のお仕事に就いている人を指す、いわば総称のようなものです。「士」とついていることで、何か特別な資格があると思われるかもしれませんが、「介護士」という資格が存在するわけではありません。

一般的に介護士とは、介護施設で介護のお仕事に従事している人や、訪問介護サービスにおいて身体介護や生活援助などを行うホームヘルパー、または訪問介護員を指すことが多いようです。介護職員、介護スタッフなどと呼ばれることもあります。明確な定義はなく、使う人によって意味が異なっていることもありますが、「介護士」という言葉は、介護従事者全般を指していると認識していればよいでしょう。なお、介護従事者を総称する表現としては「介護職」が適切だとされていますが、本記事では「介護士」を用いて説明いたします。


介護福祉士とは

「介護福祉士」は、介護分野で唯一の国家資格の名称であり、かつ、介護福祉士国家試験に合格した人だけが名乗れる名称です。介護士のような総称や、ホームヘルパー(訪問介護員)のように特定の業務を行う人を指す名称とは異なります。

つまり、介護士と介護福祉士の違いを簡単に表現すると、介護士(介護職)という介護業務従事者全体を指す大きな括りがあり、そのなかに、介護福祉士という国家資格を持つ人たちがいるイメージです。


[興味がある方は、こちらをご覧ください]
介護福祉士のお仕事とは
介護福祉士の資格・就職について

介護士・介護福祉士の資格、お仕事、給与、待遇

資格の違いはある?

「介護士」という資格はありません。介護士とは、介護のお仕事に従事する人全体を指す呼び方のため、介護サービスを行う事業所で、介護のお仕事をしていれば、介護士だと言えるでしょう。

それに対して、「介護福祉士」は、介護福祉士国家試験に合格した人だけが名乗ることのできる名称です。このような資格を、名称独占資格と言います。

介護士として働き始めた人が、キャリアアップのために取得を目指すべき資格がいくつかあり、そのうちの1つに介護福祉士があるとイメージするとよいでしょう。

※資格取得に向けた教育講座について、興味がある方はこちらをご覧ください。
介護職員初任者研修
介護福祉士実務者研修
介護福祉士国家試験対策講座
ケアマネジャー受験対策パーフェクトゼミ



介護士のステップアップに向けた一般的な流れとしては、まず初めに、介護関連の資格のなかでも入門的な資格として位置付けられている「介護職員初任者研修」を受講して、資格を取得。
次に、介護職員初任者研修の上位資格に位置付けられる「介護福祉士実務者研修」を受講して、資格を取得。そして、さらに上位に位置付けられている国家資格の「介護福祉士」取得を目指す人が多いようです。

もちろん、ステップアップの道筋は人それぞれです。ただし、上位資格を取得するには、下位資格の取得や実務経験が必要といった条件が設けられている場合もあるため、徐々にステップアップし、介護のお仕事に必要な知識や技術を無理なく身につけながら、上位資格を目指していくのがよいでしょう。

[興味がある方は、こちらをご覧ください]
介護のお仕事に就くために必要な資格とは

お仕事内容に違いは?

介護士が従事する介護のお仕事は、保有している資格によって、担える業務内容に違いがあります。例えば、入浴や食事、排せつなどの介助を行う「身体介護」の業務は、介護の資格がないと行うことができません。介護関連の資格のなかでも入門的な資格とされている「介護職員初任者研修」を修了することで、「身体介護」に携わることができるようになります。

さらに、国家資格の「介護福祉士」を取得すると、介護業務について幅広い知識や高い技術を身につけているとして、介護スタッフを現場で束ねるリーダーなどの職に就けるチャンスにも恵まれます。


介護士のなかで、資格の有無による給与・待遇の差はある?

同じ職場で介護のお仕事に従事していても、保有している資格によって、給与や待遇に差があるのが一般的です。事業所によって異なりますが、資格手当が支給される場合があるからです。特に、介護福祉士資格の保有者は、リーダー職や管理職を任せられることも多く、その役職に応じた役職手当が支給されることも多いようです。

厚生労働省の調査によると、2022年度の介護士の平均給与額(月額)は、表のとおりです。資格を持っているほうが、平均給与が高いことや、上位資格になるほど平均給与が上がっていることが読み取れます。

介護士の平均給与額(月給・常勤の者、保有資格別)

平均勤続年数 2022年[A] 2021年[B] 差[A−B]
全体 8.7年 318,230円 300,740円 17,490円
保有資格あり 8.9年 321,120円 304,230円 16,890円
介護福祉士 9.5年 331,690円 314,930円 16,760円
実務者研修 6.5年 302,500円 289,410円 13,090円
介護職員初任者研修 8.0年 302,910円 286,530円 16,380円
保有資格なし 5.3年 270,530円 250,600円 19,930円
  • (厚生労働省「令和4年(2022年)度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」より引用)

転職のしやすさに違いは?

介護職経験者として、別の事業所に転職を考えるとき、介護福祉士の資格を持っているほうが転職しやすいのでしょうか。

転職の応募先に、自分が即戦力として活躍できる人材であることをアピールするには、介護士としてのスキルを客観的に認めてもらうのが有効です。その点、資格を持っていれば、相応の知識や技術を身につけていることの証しとなります。さらに、持っているのが上位の資格であれば、それだけ高度な知識や技術の持ち主だと認めてもらえるでしょう。関連する資格のなかでも国家資格の「介護福祉士」であれば、なおさらです。

また、未経験から介護士を目指す場合でも、あらかじめ介護関連の資格を取得していれば、介護業務に関わる基本的な知識を身につけていて、即戦力として活躍できそうな人材だと判断されるかもしれません。

介護福祉士の資格を持っていることが、より有利にはたらくこともあります。例えば、全国約1,900拠点でトータル介護サービスを展開するニチイの求人サイト「きゃりあネット」では、介護福祉士の資格を必須または歓迎としている求人も掲載されています。こうした条件が設けられている場合、サービス提供責任者や生活相談員など、資格が必要な業務のための採用であることも多く、一般的な介護職員よりも好待遇で採用される可能性があります。

[興味がある方は、こちらもご覧ください]
ニチイの介護職求人サイト きゃりあネット

「介護士」は介護業務に従事する人の総称で、「介護福祉士」は、そのなかで国家資格を持った人のこと

ここまでお読みいただいたように、介護士とは介護のお仕事に携わっている人の総称であり、そのなかでも、介護福祉士国家試験に合格した人が介護福祉士ということになります。

国家試験に合格して、介護福祉士として働けるようになれば、活躍できる領域が広がります。

未経験から、ゆくゆくは「介護士になろう」「介護士を目指そう」という方は、まずは介護に関連する資格のなかでも入門的なものとして位置付けられている、「介護職員初任者研修」の資格取得をおすすめします。

介護職へのニーズは、今後もますます高まると見られています。介護士としてスタートを切ったら、ぜひ上位資格の取得にもチャレンジし、ゆくゆくは国家資格の介護福祉士を目指してみてはいかがでしょうか。


[初回公開日 2021年9月29日]

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