2023年09月01日

医療事務の志望動機はどう書く?履歴書で好印象を与えるポイントを解説!

病院の受付や会計業務、カルテの管理などを行う医療事務は、人気の職業の1つです。そのため、応募の際には、志望動機のアピール内容が合否を左右することもあるようです。「この人を採用したい」と思ってもらえる志望動機の書き方や「この人に働いて欲しい」と好印象を持ってもらえるポイントについて、解説します。

医療事務の志望動機はなぜ重要か

書類選考や面接の際に「この人を採用するかどうか」を判断するポイントにおいて、志望動機は大きなウエイトを占めます。

資格を持っているか、何が得意なのかといったことも重要ですが、医療事務に応募してくる人は、必要な資格やスキルを持っていることも多く、そのなかから選ばれるには、志望動機でアピールすることが大切です。また、資格を持っていない場合でも、資格を取得する意欲・予定があるということを志望動機に書き添えることで、好印象を持ってもらえる可能性が高まります。

採用する側は、事務的に必要最小限の仕事をこなすだけの人より、自ら積極的に考え、行動し、いきいきと働いてくれる人を望んでいるはずです。採用されるには、「医療事務のお仕事に就きたいと思う理由」や、その病院、クリニックのどこに魅力を感じたのか・どのように活躍したいと思っているのかといった「その病院、クリニックを選んだ理由」を明確にしておくことが大切です。その動機がしっかり書かれていると、採用担当者は「当院で医療事務として活躍してくれるだろう」という期待が高まり、「採用したい」という気持ちにつながります。

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医療事務の志望動機の書き方

実際に医療現場を取り仕切る医療事務運営のプロに、採用時の重要ポイントを聞いてみました。その結果、「次の4つの点がきちんと伝わってくるかどうかが、採用・不採用を決める際の大きなポイントとなる」そうです。

・なぜ医療事務の仕事をしたいと思ったのか
・なぜこの病院、クリニックで働きたいのか
・この病院、クリニックでどのように活躍できるのか
・どのような目標やキャリアプランを持っているか

この4点を、積極的かつ前向きな気持ちが伝わるように志望動機に書くことで、「当院で頑張ってくれるだろう」と思ってもらえる可能性が高まります。

なお、読みやすい字で丁寧に書くことも忘れないようにしましょう。

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なぜ医療事務の仕事をしたいと思ったのか

「人と接することが好きだから」「患者様の不安を和らげてあげたいと思ったから」「子どもの頃、病院で受付の人に優しくしてもらって嬉しかったから」など、「医療事務」というお仕事を選んだ理由を書きましょう。また、「安定しているみたいだから」「長く働けると聞いたから」といった受け身に感じられる書き方ではなく、「一生の仕事として取り組みたい」のように積極的な姿勢をアピールする書き方がおすすめです。

(例)
「家族が長期入院したときに、請求された入院費の明細についてわからない点があったので、病院の受付で質問したところ、親身になって一つひとつ教えてくれました。その経験から、誰かが困っているときに、相手に寄り添って不安を和らげることができる医療事務の仕事に関心を持ち、一生の仕事にしたいと考えるようになりました」

なぜこの病院、クリニックで働きたいのか

数ある病院、クリニックのなかから、その病院、クリニックを選んだ理由を伝えましょう。「子どもの頃からよく利用していて親近感がある」「自分が通院していたときに、スタッフの対応が丁寧で笑顔が気持ちよいと思った」「患者様のことを第一に考えていることが伝わってくる」など魅力に思っている点を書き、「だからぜひ、ここで働きたい」という気持ちをアピールしましょう。

(例)
「子どもの頃、持病の発作を起こして、こちらの病院でお世話になったことがあります。そのときのことを、母は『引っ越してきたばかりで、かかりつけの医療機関がなくて不安だったけれど、先生や看護師さん、受付の方が皆さん親切で、すごく救われた気持ちがした』と、今でも事あるごとに思い出して話しています。大変お世話になった貴院で、今度は私が不安を感じている患者様の力になることで、恩返しをしたいと思っています」

この病院、クリニックでどのように活躍できるのか

「几帳面でコツコツと作業をこなせる」「前職でも接客業に就いていた」など、自分の長所や経験を活かしてどのように活躍していきたいかを伝えましょう。

(例1)
「前職では、人事部で給与関連の業務を担当していました。事務作業を正確かつスピーディに処理できる力を、貴院の業務でも役立てたいと考えています」

(例2)
「これまで5年間、ホームセンターでの販売・接客業務を通じて、お客様のご要望を的確に把握して、最適なご案内につなげるコミュニケーション能力を磨いてきました。医療事務は未経験ですが、現在、通信制の医療事務講座を受講しながら、知識を吸収しています。コミュニケーション能力と、医療事務の知識やスキルの2つを併せ持った医療事務職として、貴院のお役に立てればと思います」

どのような目標やキャリアプランを持っているか

採用後、どのように成長したいかというキャリアプランや、その医療機関で働くことで成し遂げたい目標を伝えましょう。目的意識を持って働きたいと示すことで、「意欲が感じられる」、「腰を据えて、長期間働いてもらえそう」といった高評価を得られるかもしれません。転職活動の場合は、「前職での経験を活かして、貴院ではこうなりたい」とアピールするのも、1つの方法だと言えます。

(例1)
「医療事務は初めてですが、まずはレセプト業務など医療事務の基本を身につけたいと思います。また、医師事務作業補助の仕事にも関心があり、医療事務の仕事をしながら、勉強をして、複数の業務に携われるように成長したいと考えています」

(例2)
「前職では本来の担当業務の傍ら、新人教育も担当していました。貴院でも、まずは私自身が1日も早く仕事に習熟したうえで、ゆくゆくは後輩の育成も行えるようになって、病院全体に貢献できるようになりたいです」

医療事務の志望動機のパターン別例文一覧

既に医療事務職として活躍している人は、どのような志望動機を書いてきたのでしょうか。もう少し具体的に、「どのような立場から、医療事務を目指しているのか」といった3つのパターンについて、それぞれの例をご紹介します。

医療事務経験者の志望動機

(例)
「前職は、自宅から自転車で通える距離のクリニックに、医療事務職としてフルタイムで、5年間にわたって勤務していました。家庭の事情で転居することになりましたが、せっかく身につけた知識やスキルを、新たに暮らすことになったこの土地でも役立てたいと思い、応募しました。貴院は診療科目が多く、学ぶことが多々あると思いますが、一つひとつ積み重ねながら成長して、ゆくゆくは他の職員の皆さんから頼られるような存在になりたいと思います」

医療事務未経験者の志望動機

・事務スキルを活かしたい場合

(例)
「これまで事務職として4年間働いてきましたので、書類の作成やパソコンの入力など、事務作業の正確さには自信があります。一方で、自分の能力を誰かのために役立てることで、世の中の役に立っているという充実感を、より強く味わいたいと思うようになりました。この地域で長年医療を提供し、地域の方々から親しまれている貴院の一員に医療事務職として加わることで、地域医療の一端を支え、世の中にいくらかでも貢献したいと願っています」

・コミュニケーションスキルを活かしたい場合

(例)
「自動車販売店での接客業務の経験を活かして、来院された患者様の不安を和らげ、安心して通院していただけるような応対を実践したいです。前職では、役所への届出や助成金の申請など書類作成も多かったので、事務作業の正確さにも自信があります。医療事務は未経験の分野ですが、持ち前のコミュニケーション能力を発揮しながら、一つひとつの作業を着実に行うことを心がけ、新しい知識も貪欲に吸収していきたいと思います」

医療事務の志望動機を書く際のポイント

ここまで、医療事務の志望動機として、どのようなことを書けばよいのかをご紹介しました。しかし、採用担当者は、日々さまざまな履歴書を目にしています。多くの履歴書のなかで、採用担当者の目に留まり、「この人に会ってみたい」と思ってもらうためには、どのようなことに気を配るべきでしょうか。

応募先医療機関の特色を知る

数ある医療機関のなかでも、なぜその医療機関で働きたいのかを、明確に伝えましょう。履歴書の志望動機欄だけでなく、面接でも十中八九、質問されるポイントであり、しっかりと考えておく必要があります。応募先医療機関のホームページや、時間があれば病院案内などの印刷物を入手して、書かれている内容をよく読んでおきましょう。

たとえば、医療に対する考え方(理念)や、患者様と接するうえで大事にしている点、他の医療機関には見られない特徴(取り組み、設備など)が書かれていたら、要チェックです。
よい医療機関だなと思うところがあれば、その医療機関を選んだ理由の1つとして取り上げ、自分も一緒に働きたいという想いをアピールしましょう。

応募先の診療科目を意識する

医療機関には、さまざまな診療科があり、それぞれの医療機関ごとに設置している科はさまざまです。提供される医療行為や、主な患者様の属性も、診療科によって違いがあります。

医療事務は、医療行為を行うことはありませんが、応募する医療機関にどの診療科が置かれているかをしっかりと認識しておく必要があります。そのうえで、たとえば「幼児と接することが好きなので、小児科も設置されている貴院で、不安を感じている小さな患者様に寄り添いたい」など、志望動機と関連づけるのも1つの方法です。

応募先医療機関の規模を把握しておく

ひと口に医療機関といっても、大規模な総合病院から、住宅街のクリニックまで、規模は大小さまざまです。医療機関の規模により、そこで働く医療事務の人数や医療機関全体が取り扱う業務量に大きな差があり、それは一人ひとりの医療事務員が担当する業務範囲の差として現れます。規模の大きな病院では、分業が確立された大きな組織でチームの一員として活躍することが求められます。小規模なクリニックでは、クリニックの顔として、広範囲な業務を担当します。お仕事を通じて得られるやりがいは、前者、後者のどちらにもそれぞれあり、それが志望動機の1つになることもあるでしょう。そのためにも、応募する医療機関が、どのくらいの規模で、どれだけの人数のスタッフが働いているのか、事前に確認しておく必要があります。

業務内容を理解する

医療事務の主な業務内容として、レセプト(診療報酬明細書)作成・点検や、患者様応対、会計などがあります。特に未経験で応募する場合は、それぞれどのようなお仕事なのか、業務内容を理解しておきましょう。それぞれの業務を知ることで、医療事務に求められているスキルがわかり、現在の自分自身が持っているスキルや、今後身につけるべきスキルを意識した志望動機を書くことができます。

オリジナルな内容にする

インターネットで検索すれば、さまざまな志望動機の例文を目にすることができます。しかし、それをそのまま使っても、日々多くの履歴書を目にしている採用担当者には、ひと目で見抜かれてしまいます。何より、医療機関の採用担当者がもっとも知りたい、「応募者がどのような人物であるのか」という点が伝わりません。応募した自分が、どのような人間なのかを採用担当者に伝えるためには、オリジナルなエピソードが大切です。「私はこのような体験をしてきた」「だから、このように考える」、そして「この体験を通じて得た知識やスキル、仕事の進め方などを、貴院でも活かしたい」ということを伝えられれば、同じ志望動機を伝えるのでも、より説得力を持たせることができます。

医療事務でNGとされる志望動機

医療事務の志望動機として、独自性は重要な要素の1つではあります。一方で、伝える相手(採用担当者)が知りたいと思っていることに触れず、独りよがりの想いや希望ばかりに終始している志望動機は、むしろマイナスでしかありません。志望動機として挙げるのを控えるべきなのは、どのような点でしょうか。

具体性に乏しい

医療事務を志望するにあたって、「几帳面な性格なので、レセプト作成に向いていると思う」、あるいは「コミュニケーション能力に長けているから、患者様応対に活かせると思う」と考えるのは、よいことです。しかし、応募者自身がそう思っていても、そのまま志望動機に書いただけでは、どの程度すぐれているのかが採用担当者に伝わりません。できるだけ具体性を持たせるようにしましょう。たとえば、几帳面さを伝えたければ、「前職では、間違いの許されない〇〇〇〇の書類作成業務を任されていた」、コミュニケーション能力をアピールするのであれば、「〇〇〇〇の顧客対応業務で、お客様から感謝の言葉をいただいたことがある」といった、自身のオリジナルな経験と関連づけて説明したいところです。

ただし、新卒で医療事務への就職を目指す場合など、アピールポイントにつなげられる具体的なエピソードが無い場合もあるでしょう。現時点では職務経験がなく、具体的にどのように役立てるかはわからなくても、幅広く医療に貢献したいという想いと、そう思うようになった自分自身の体験を伝えることができれば、医療事務のお仕事に就くチャンスは十分にあります。

待遇面や労働条件を主軸にしている

医療事務に限らず、どのようなお仕事に就くにあたっても、給与額などの待遇や労働条件は大事です。ただし、志望動機として給与のよさや労働条件のよさを挙げるのは、おすすめできません。採用する側にとっては、自発的・前向きに仕事に取り組もうという意思を感じにくく、また、「当院よりも条件のよい医療機関があれば、すぐに辞めてしまうのではないか」と判断されかねません。

医療事務として働くには

医療事務として働くには、医療機関に直接雇用されるか、または医療事務関連サービスを提供している会社を経由するかという、2つの選択肢があります。それぞれに長所がありますので、結婚や出産、転居といったご自身のライフプランも考えながら、より働きやすいと思われる方法を選びたいところです。

医療機関に直接応募して就職する

医療機関が出している医療事務の求人の情報を、自分で探して応募し、採用面接を受ける方法です。「この医療機関で働きたい」という具体的な希望がある場合は、まずは直接応募することが近道だと言えます。ホームページを開設している医療機関の場合は、ホームページ上に採用情報を掲載していることもありますので、こまめにチェックしてみるとよいでしょう。また、各種の求人サイトで、「医療事務 採用 〇〇(地域名)」などのキーワードを入力して検索すれば、数多く表示される求人案件のなかに、希望している医療機関や地域の求人が見つかるかもしれません。
晴れて採用された場合、以後は労働時間や待遇など、その医療機関の規定に沿って働くことになります。

医療事務代行会社に応募して就職する

医療機関のなかには、医療事務の業務の全部または一部を、外部の会社に委託しているところがあります。そうした医療事務関連サービスを提供している会社に就職したうえで、契約先の医療機関で医療事務として働く方法もあります。

医療事務代行会社の場合も、求人サイトや自社のホームページ上に求人情報を掲載しています。勤務先として、具体的な医療機関の情報が掲載されている場合もありますし、勤務地や勤務時間、業務内容、お仕事に就いてからの心配事など、働く本人の希望を聞いて、最適な勤務先を案内してくれる場合もあります。また、医療事務代行会社では、医療事務の資格取得を目的とした教育講座を提供しているケースもありますので、医療事務のお仕事未経験の人は、資格取得の相談も可能です。

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志望動機をきちんと整理し、面接時の自己PRにも役立てよう

医療事務というお仕事の内容をあまり把握しないまま応募してしまう人も少なくありませんが、それでは面接にこぎつけることさえ難しいでしょう。よくわからないという人は、医療事務というお仕事を理解し、なぜ医療事務のお仕事をしたいのかを考えることから始めれば、きちんとアピールすることができます。

志望動機とは、いわば応募先へのラブレターです。「あなたを選びました・あなたでなければダメです」という気持ちを伝えられるよう、まずは、ご紹介した4つのポイントを自分なりに整理してみましょう。それを志望動機としてきちんと書くことができれば、面接時の自己PRにも役立てることができます。
自分自身の言葉で表現した、採用担当者の心に届く志望動機を準備して、医療事務のお仕事にチャレンジしてみませんか。

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[初回公開日 2018年03月30日]

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