2023年12月11日

介護福祉士国家試験の合格発表は、いつ、どのように行われる? 合格したら、どんな手続きが必要?

介護福祉士国家試験の受験を目指している方にとって、合格発表が、いつ、どのように行われるかは、大いに気になるところです。また、試験に合格すれば、それでひと安心...というわけにはいきません。介護福祉士の有資格者として介護業務に就くためには、試験に合格した後、決められた期間内に、定められた手続きを済ませる必要があります。

本コラムでは、介護福祉士国家試験の合否がわかるのはいつ頃なのか、大まかなスケジュールをお知らせするとともに、試験合格後、いつまでに、何をすればよいのか、必要な手続きや提出書類についてご説明します。

さらに、受験に際して、試験の難易度や合格ラインをあらかじめ知っておきたいという方のために、過去5年間の合格率や合格基準点のデータについてもご紹介します。

介護福祉士国家試験の合格発表はいつ?

介護福祉士国家試験の合格発表は、例年、3月下旬に行われています。1月下旬に筆記試験を受けてから、約2ヵ月後に合否がわかることになります。

介護福祉士国家試験では、2016年度(第29回)試験以降、受験者の多くが実技試験免除となり、筆記試験のみを受験しています。例えば、現在、大半の受験者が該当する「実務経験ルート」で受験資格を得ている場合は、「介護福祉士実務者研修」を修了しているか、または「介護職員基礎研修」と「喀痰吸引等研修」の両方を修了していることで、実技試験が免除されています。

一方で、実技試験を受験する方は、筆記試験の受験から合格発表までの流れが少し異なりますので、注意が必要です。

なお、どのような人が実技試験を受験する必要があるかについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ご一読ください。

【筆記試験のみを受験する場合】合格発表までの流れ

  1. ① 筆記試験が実施されるのは、例年1月下旬です。2023年度(第36回)試験は、2024年1月28日(日)に予定されています。

  2. ② 合否は、例年3月下旬に発表されます。2023年度(第36回)試験は、2024年3月25日(月)の予定です。試験を実施している公益財団法人 社会福祉振興・試験センターから、受験申し込みの際に記入した住所宛に通知が郵送されるほか、同センターのホームページにも掲載されます。

【筆記試験と実技試験を受験する場合】合格発表までの流れ

  1. ① 筆記試験は、「筆記試験のみ」の受験者と同じ日程で、例年1月下旬に実施され、2023年度(第36回)試験は、2024年1月28日(日)に予定されています。

  2. ② 実技試験の受験者には、例年2月中に筆記試験の合否が発表されます。

  3. ③ 筆記試験の合格者のみ、例年3月上旬に実施される実技試験を受験します。2023年度(第36回)試験は、2024年3月3日(日)の予定です。

  4. ④ 最終的な合否が、例年3月下旬に発表されます。2023年度(第36回)試験は、2024年3月25日(月)の予定です。試験を実施している公益財団法人 社会福祉振興・試験センターから、受験申し込みの際に記入した住所宛に通知が郵送されるほか、同センターのホームページにも掲載されます。

「受験資格見込み」で受験した場合の合格発表日

受験申し込み時に、介護福祉士国家試験の受験資格を得ていなくても、研修などが「修了見込み」であれば、受験できる制度があります。例えば、「実務経験ルート」で受験する場合で、「実務者研修」を受講中、または受講予定の方は、「実務者研修修了見込み」として受験を申し込むことができるのです。

この場合は、研修が修了次第、「実務者研修修了証明書」を公益財団法人 社会福祉振興・試験センターに提出して、受験資格があることの確認を受ける必要があります。2023年度(第36回)試験の場合、2024年3月31日(日)までに実務者研修を修了し、それを試験センターが確認後に改めて合否通知が発送されます。証明書の受付は4月12日(金)までの消印有効ですので、該当する方は、研修が修了したら、すぐに証明書を送るようにしましょう。

「介護福祉士国家試験は受験したけれど、結局、研修を修了できなかった」という場合は、受験資格を満たしていなかったとして、試験の結果が合格ラインに達していたとしても、合格は無効となります。

介護福祉士国家試験の合格発表はどこで見る?確認の方法

介護福祉士国家試験の合格発表は、例年3月下旬です。ただし、受験資格欄などに「見込み」と記載があり、卒業証明書や実務経験証明書などの提出が合格発表日を過ぎてしまう方は、提出後に結果が通知されます。提出期限を過ぎてしまうと試験が無効となってしまうので、注意してください。
合格発表を確認するには、以下の方法があります。

社会福祉士振興・試験センターのホームページ

最も早く結果を確認できる方法です。受験申込時に取り寄せる「受験の手引」に記載されている合格発表の日に、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのホームページに、合格者の受験番号が表示されます。2022年度(第35回)試験は、合格発表の日の14時に掲載されました。ホームページを確認する際は、自分の受験番号がわかる書類を用意しておきましょう。

郵送による通知

「受験の手引」に記載されている合格発表の日に、すべての受験者に結果通知が発送されます。合格の場合は合格証書と登録申請書類、不合格の場合はその旨が通知されます。インターネットに接続できる環境がない方は、郵送の通知書を待ちましょう。結果と一緒に、筆記試験の総得点、各科目群の得点や無得点科目群なども通知されます。

通知は東京都内の郵便局から発送されるため、居住地によって異なりますが、到着まで最大10日間かかるとされています。合格発表から1週間経過しても通知書が届かない場合は、試験センターに問い合わせをするとよいでしょう。

厚生労働省と社会福祉士振興・試験センターでの掲示

以前は「受験の手引」に記載されている合格発表の日に、厚生労働省と公益財団法人 社会福祉士振興試験センターにおいて、合格者の受験番号と合格基準点、試験の正答が掲示されていましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、2019年度(第32回)試験から、掲示による発表は行われていません。

介護福祉士国家試験に合格したら、次にするべきこと

介護福祉士国家試験に合格したら、次に、介護福祉士の資格を有することの証明として、「資格登録」の手続きを行います。また、受験資格を「見込み」で受験した場合は、受験後に資格を満たしたことを証明する書類を提出します。

国家試験に合格しても、これらを行わなければ、介護福祉士として業務に就くことができません。必要な書類や提出期日など、あらかじめ、よく確認しておくようにしてください。

[用意するもの①]介護福祉士の「資格登録」に必要な書類(全合格者共通)

介護福祉士として介護業務に従事するためには、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターにて「資格登録」の手続きを行う必要があります。

この手続きでは、下記の書類などが必要となります。

必要な書類・入手方法・注意点など
登録申請書 試験センターから郵送されます(合格証書に同封)。
収入印紙(9,000円) 介護福祉士の「資格登録」は、国が定める登録免許税の課税対象となるため、納付した証明として必要です。郵便局などで購入できます。
登録手数料(3,320円) 試験センターに納付する手続料です。納付書は、試験センターから郵送されます(合格証書に同封)。
振替払込受付証明書など支払を証明する書類 上記の登録手数料を金融機関の窓口で支払った後に、受領印を捺印して戻してくれます。
戸籍を証明する書類として、
下記のうち、いずれか1通
・戸籍抄本の原本
・戸籍の個人事項証明書の原本
・本籍が記載された、住民票の原本
役所(役場)などで発行を申請し、入手できます。窓口で申請する際に、運転免許証やマイナンバーカードなどの「本人確認書類」が必要です。また、発行してもらう書類によって、それぞれ手数料がかかります(例:戸籍抄本の原本は450円)

※外国籍の方は、こちらをお確かめください。
(該当者のみ)
介護福祉士養成施設などの卒業(修了)証明書の原本
それぞれの施設などで発行してもらったもの。

[用意するもの②]受験資格を満たしたことを証明する書類(該当する合格者のみ)

介護福祉士国家試験の受験を申し込んだ時点で、実務経験が3年に達していなかったり、実務者研修を修了していないなど、受験資格を満たさずに受験している場合があります(受験票の受験資格欄に『見込』と記載されます)。

この場合は、受験した年度の3月末日現在で、受験資格を得ているという証明が必要です。この証明書は、4月上旬の提出期日までに提出しないと、試験合格が無効となってしまいますので、遅れないようにしましょう。

・実務経験が3年に達した場合
「実務経験証明書」を事業所で発行してもらいます。
・実務者研修を修了した場合
「実務者研修修了証明書」を研修の実施者に発行してもらいます。

介護福祉士資格登録までの流れ

介護福祉士資格登録までの流れをまとめると、次のとおりです。

STEP1:書類の受け取り
公益財団法人 社会福祉振興・試験センターから、郵便で合格証書と一緒に届く書類を手元に準備する。

STEP2:申請書の記入
同封されている「登録の手引き」を見ながら、登録申請書に必要事項を記入する。

STEP3:戸籍の証明書準備・各種支払い
役所・役場などで、戸籍の証明書を発行してもらう。
郵便局などで、収入印紙(9,000円)を購入して、登録申請書の所定欄に貼る。
同封されている「払込票」を使って、金融機関や郵便局の窓口で、登録手数料(3,320円)を支払う。

STEP4(該当者のみ):証明書を用意
卒業証明書、実務経験証明書、研修修了証明書など、各種証明書類が必要な場合は用意する。

STEP5:郵送
提出書類の漏れや、記入に不備がないことを確認したら、公益財団法人 社会福祉振興・試験センター宛に、簡易書留で送付する。

STEP6:登録証が到着
介護福祉士の登録簿に「介護福祉士」として登録され、1ヵ月ほどで、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターから登録証が郵送される。

STEP7:手続き完了
「介護福祉士」として、介護業務に従事することができる。

なお、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの審査で、書類の不備や不足があった場合は、差し戻しされますので、再提出が必要です。

介護福祉士国家試験の合格率や合格ラインを知る

これから介護福祉士国家試験を受験する方にとっては、過去の試験の合格率や合格ラインも気になる情報の1つではないでしょうか。参考までに、過去5年間の合格率や合格ラインは、下記のようになっています。

受験者数と合格者数、合格率の推移

毎年3月下旬の合格発表後に、厚生労働省がホームページで公表しているデータによれば、受験者数と合格者数・合格率は、次のように推移しています。

介護福祉士国家試験 受験者数・合格者数・合格率の推移
実施時期 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率
2018年度(第31回) 94,610 69,736 73.7%
2019年度(第32回) 84,032 58,745 69.9%
2020年度(第33回) 84,483 59,975 71.0%
2021年度(第34回) 83,082 60,099 72.3%
2022年度(第35回) 79,151 66,711 84.3%

合格ラインの推移

合格ラインについても、公表されています。合格基準点の推移は、次のとおりです。総得点125点に対し、合格基準点は例年75点前後となっています。

実施時期 総得点 合格基準点
2018年度(第31回) 125 72
2019年度(第32回) 125 77
2020年度(第33回) 125 75
2021年度(第34回) 125 78
2022年度(第35回) 125 75

着実に合格を目指すなら、試験対策講座がおすすめ

介護福祉士国家試験合格に向けて万全に備えるのであれば、さまざまな団体が実施している試験対策講座を受講することをおすすめします。例えば、ニチイの「介護福祉士国家試験対策講座」の場合、全国で約13万人のお客様に介護サービスを提供している介護事業者ならではの、実践的なノウハウが満載で、着実に合格するための実力を身につけられます。講座の詳細は、こちらをご覧ください。

介護福祉士国家試験に不合格となった場合にするべきこと

介護福祉士国家試験に不合格となってしまったら、次の試験に備えて対策をはじめましょう。まずは合否の通知とともに送付された得点結果を確認し、自分の苦手な分野をしっかり把握することが重要です。「ご高齢者の介護業務が中心なので、障がい関係の知識に触れる機会がない」など、業務で身につきにくい内容を意識し、焦点を当てて取り組むことも、弱点の克服につながります。

また、それまでのやり方を振り返り、勉強方法を変えてみるのもひとつの方法です。例えば、週に1日だけ4時間勉強していたのを毎日30分ずつに変えてみる、今まで使っていなかった問題集や参考書を使用するなど、新たな対策を練りましょう。

試験前には、各養成校が試験対策講座を開講しています。試験対策講座を受講することで、今まで気づかなかった自分の弱点や、次の試験に向けてやるべきことが明確になります。

介護福祉士国家試験に合格しても、最後の「詰め」まで気を抜かずに!

介護福祉士国家試験に合格すれば、喜びもひとしおでしょう。しかし、合格したことで安心してしまい、手続き上のミスで合格が無効になると、1年後に再受験のうえ、再び合格しないと「介護福祉士」にはなれず、その間はキャリアアップが遅れてしまいます。

合格がわかり次第、早め早めの行動を心掛け、確実に手続きを済ませるようにしたいものです。


[初回公開日 2021年07月30日]

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