2020年01月20日

介護福祉士を目指すなら、受験資格を知っておこう

介護関連で唯一の国家資格である介護福祉士の資格を取得するためには、年に1回実施される「介護福祉士国家試験」に合格する必要があります。試験は、介護経験が豊富というだけでは受験することができません。受験するための条件(受験資格)が設けられていますので、自分が受験資格を満たしているか、事前にしっかり確認する必要があります。

介護福祉士国家試験を受験するための4つのルート

介護福祉士国家試験の受験には、以下の4つのルートがあります。

1. 実務経験ルート
2. 養成施設ルート
3. 福祉系高校ルート
4. 経済連携協定(EPA)ルート

1~3はいずれも、国籍や性別、年齢などの制約はありません。
4の経済連携協定(EPA)ルートは性別や年齢の制約はありませんが、日本と協定を締約したインドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヵ国で経済連携協定(EPA)に基づく条件を満たした方に限定されたルートです。

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実務経験ルート

介護の実務経験を生かして、介護福祉士の資格取得を目指すルートです。現在、介護福祉士を目指す人の大半は、この実務経験ルートで介護福祉士国家試験を受験しています。

    ■受験資格が得られる条件
    ①従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上の介護の実務経験があること
     +
    ②介護福祉士実務者研修を修了していること
     または、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了していること

対象となる職種での雇用なら雇用形態は問われないため、パートや嘱託でも条件を満たしていれば受験が可能です。実務経験ルートの受験者は実技試験が免除となり、筆記試験に合格すれば、介護福祉士の資格を取得できます。

なお、「介護職員基礎研修」は2012年度末に廃止されていますので、介護職員基礎研修未修了で、これから「実務経験ルート」で受験する方は、「介護福祉士実務者研修」を修了する必要があります。

養成施設ルート

介護福祉士養成施設を卒業した方が、資格取得を目指すルートです。

    ■受験資格が得られる条件
    ①介護福祉士養成施設で2年以上学び、卒業していること
    または
    ②福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設などを卒業した後、介護福祉士養成施設で1年以上学び、卒業していること

2016年度までの卒業生は、試験を受けなくても、卒業と同時に介護福祉士の資格を取得できました。2017年度~2021年度の卒業生は、卒業後5年間の期限付きで介護福祉士の資格を取得できます。また、この5年の間に試験に合格または卒業後5年間続けて介護などの業務に従事すれば、5年経過後も介護福祉士の登録を継続できます。

福祉系高校ルート

福祉系高校や特例高校を卒業し、介護福祉士の資格取得を目指すルートです。このルートは、さらに3つのパターンに分かれます。福祉系高校を卒業した場合は、入学年度によって受験資格が変わりますので、注意しましょう。

【2009年度以降に福祉系高校に入学し、新カリキュラムで学んだ場合】


    ■受験資格が得られる条件
    介護実習を含む新カリキュラムを履修して卒業したこと

2009年度以降の新カリキュラムには「介護実習」が含まれるため、実技試験は免除されます。筆記試験に合格すれば、介護福祉士の資格が取得できます。

【2008年度以前に福祉系高校に入学し、旧カリキュラムで学んだ場合】


    ■受験資格が得られる条件
    旧カリキュラムを履修して卒業したこと

2008年度以前に入学した方は、筆記試験と実技試験を両方受験する必要があります。ただし「介護技術講習」を受講した方は、実技試験が免除となります。

【福祉系特例高校を卒業した方】


    ■受験資格が得られる条件
    ①所定の教科目・単位を履修して福祉系特例高校を卒業したこと
     +
    ②従業期間9ヵ月(273日)以上かつ、従事日数135日以上の介護の実務経験があること

筆記試験と実技試験の両方を受験する必要がありますが、「介護技術講習」を受講した方は実技試験が免除となります。

経済連携協定(EPA※)ルート

経済連携協定に基づき、介護福祉士資格を取得するために日本で就労および研修を受けているインドネシア人、フィリピン人、ベトナム人の方(EPA介護福祉士候補者)が、資格取得を目指すルートです。

    ■受験資格が得られる条件
    ①EPA介護福祉士候補者であること
     +
    ②従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上の、介護の実務経験があること

筆記試験と実技試験を両方受験するか、「介護技術講習」または「介護福祉士実務者研修」を受講して実技試験を免除されるか、どちらかを選択できます。

※EPA(Economic Partnership Agreement)とは、貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素などを含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定のことです。
2019年時点でEPA対象国は、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヵ国です。

従業期間と従事日数について

介護の実務経験における従業期間とは、対象となる介護施設に在籍した期間のことを指します。傷病休暇や産休・育休などで休職していた場合でも、その職場に在籍していれば従業期間に含まれます。

一方、従事日数は実際に「介護に該当する仕事」をした日数を数えます。休職中はもちろん、有給休暇、研修、出張などで、介護業務を行わなかった日は従事日数には含まれません。

「介護福祉士実務者研修」とは?

「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」「経済連携協定(EPA)ルート」の4つのルートのうち、「実務経験ルート」で介護福祉士を目指す方に向けて、「介護福祉士実務者研修」について説明します。

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「介護福祉士実務者研修」とは、コミュニケーション技術から医療的ケアまで、介護に関する専門的・実務的な知識と技術を習得する研修です。介護職としての実務経験や資格を持っていない方でも受講することが可能ですが、すでに介護の資格を持っている方であれば、保有する資格によって科目が免除され、受講時間や受講期間が短くなります。

受験資格のない方は、実務者研修を修了して実務経験ルートで受験を目指そう

ここまで、介護福祉士の資格を取得するためには介護福祉士国家試験を受験する必要があること、その国家試験を受験するためには、4つのルートのいずれかの条件を満たして受験資格を得る必要があることを説明してきました。

介護福祉士を目指す方は、まずは自分に受験資格があるのかを確認しましょう。4つのルートのいずれにも該当しない方は、「介護の実務経験3年以上」に加え「介護福祉士実務者研修」を修了して、実務経験ルートを目指しましょう。実務者研修の研修期間は6ヵ月以上とされていますが、介護職員初任者研修やホームヘルパー2級など介護の資格を持っている方なら、研修内容が一部免除される制度もあります。介護福祉士国家試験の合格に向けて、受験資格取得への第一歩を踏み出してみてください。

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