2019年09月12日

医療事務のお仕事でよく聞く「レセプト」って何?

医療事務についての話を聞くときによく出てくるのが「レセプト」という単語。実は医療事務のお仕事のなかでも、特に重要なのがこのレセプトに関する業務です。ここでは、レセプトとはどんなものなのか、何のためにあるのかなど、医療事務のお仕事に興味をお持ちの方なら、ぜひ知っておいていただきたい「レセプト」についてご紹介します。

レセプトについて知ろう

レセプトとは簡単に言うと何か?その役割は?

レセプトは、診療報酬明細書とも言い、ひとことで言うなら「医療費のレシートのようなもの」です。英語では「receipt」、ドイツ語では「Rezept」ですが、この発音が少し変化して「レセプト」になったようです。少し詳しく説明すると、一回の診療行為にかかった費用の明細を、定められた書式で記載し、それらを集約してひと月分の診療にかかった費用をまとめたものがレセプトです。レセプトには、患者ごと、診療月ごとにそれぞれ、入院・外来・調剤の項目別に診療報酬の内容が詳しく示されており、それを見れば、誰に、いつ、どのような診療が行われたのかを把握できるようになっています。

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現在の日本では、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入して「健康保険料」を支払い、お互いの医療費を支え合う仕組み(国民皆保険制度)が成り立っています。そのため、普段私たちは医療機関を受診する際、「保険診療」を受けることができます。

日本の保険診療の場合、患者が医療機関で診療を受けた際にかかった費用は、医療機関の窓口で患者自身が支払う自己負担分3割と、保険者(=保険証の発行元)負担分7割とに分けられます。これらはすべて、診療報酬として医療機関の収入になりますが、医療機関が診療報酬の10割すべてを受け取るには、患者以外に、健康保険組合、共済組合、市区町村などの保険者に対して、別途請求しなければなりません。このときに必要なのがレセプトです。つまり、レセプトは、医療機関が医療費の7割を得るための請求明細書の役割を果たす重要なものなのです。

※自己負担の割合は保険証の種類・年齢などによって異なります。
※治療内容や薬剤の種類によっては、医療費の一部(または全部)が保険適用外(=患者の10割負担)となる場合もあります。

医療機関に診療報酬が支払われる仕組み

患者の医療費の7割を負担するのは、健康保険組合や共済組合、市区町村などの保険者ですが、医療機関が保険者に診療報酬を請求するとき、実際には、「国民健康保険団体連合会」「社会保険診療報酬支払基金」などの審査支払機関を介してレセプトを提出します。"審査"という言葉からわかるように、ここでは、医療機関が提出したレセプトの審査が行われます。審査では、定められたルール通りに正しく算定されているか、患者の症状に対して正しい診療項目が記載されているかなどが細かくチェックされ、問題がなければ、審査支払機関から保険者である組合などに診療報酬が請求されます。その後、保険者でもチェックが行われ、問題がなければ、審査支払機関を通じて、医療機関に診療報酬が支払われる仕組みです。このチェックの段階で内容に不備があると、その診療項目は不適切と判断(査定)され、その分の診療報酬は減額され、支払われません。そのため、レセプト提出の際には、正しい算定ルールの使用の確認や症状と診療内容の照合などを行う「レセプト点検」が重要になってきます。

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レセプト作成業務とは

医療事務のお仕事において重要なのがレセプト作成

患者のカルテに記載された診療内容を項目別に定められた点数から診療費に置き換えて算定し、定められた書式でひと月分をまとめるのがレセプト作成業務。これを担うのが医療事務スタッフですが、医療機関の何億円という収入のうち、およそ7割にあたる保険者負担分の金額の請求に関わる重要で責任のあるお仕事ですので、その分やりがいも大きいと言えます。

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レセプト作成業務の流れ

医療機関が審査支払機関へレセプトを提出するのは、診療行為を行った翌月の10日前後までと定められています。このため、医療事務スタッフのレセプト作成業務は毎月初めの時期に集中し、次のような流れで行われます。

■診療情報の入力
外来患者の場合は、診療が終わると、その日の診療内容(診療情報)をレセプトコンピュータ(以下、レセコン)に入力します。レセコンには診療内容を表すコードを入力しますが、このコードに応じて自動的に診療報酬点数が計算され、レセプトが作成されます。入院患者の場合は、月に数回、手術を行ったときや、費用を精算するタイミングなどで、その都度、入力します。

■レセプトの作成・出力
月初めに、レセプトの作成・出力を行います。レセプトには患者一人ひとりの1ヵ月間の診療内容・診療報酬を記録するため、患者一人につき1件のレセプトを作成します。個人で経営するクリニックでも、大きな病院でも同じ作業が行われますが、ときには一つの医療機関で月に数千件という量のレセプトを作成することになります。ただ、診療情報については基本的に毎回の診療時に都度入力しているため、レセプト作成・出力の作業自体に大きな負担はありません。

■レセプト点検
レセコンが自動的にレセプトを作成・出力するため、現在レセプト業務のメインとなるのは、「作成」ではなく、レセプトの「点検」業務です。レセコンに入力されている情報がすべて正確であるとは限らず、実際の診療内容と相違があることもあります。そのため、傷病名と診療行為、処方薬との整合性など、コンピュータでは判断できない部分を人の目できちんと点検する必要があります。例えば、点眼薬が処方されているのに眼の傷病名が入力されていない場合などは明らかに過不足があると判断できるでしょう。また、実際に、ある疾病に対して診療が行われていて、その傷病名がレセコンに入力されていても、添付資料の提出が必要な場合があったり、条件によっては診療報酬として算定できないこともあります。レセプト作成の肝とも言える「点検」業務を正確に行うには、診療内容と算定ルールの理解が必須です。この「レセプト点検」で医療事務スタッフの正しい知識と目が重要な役割を果たします。

■医師による確認、審査支払機関への提出
レセプトに記載されている傷病名と診療行為、処方薬などに不整合の疑いがある場合は、医師に診療内容と傷病名が一致しているかどうかを再確認してもらい、相違があれば正しい情報に訂正してもらいます。また、添付資料の提出が必要な場合などは、文書の作成依頼や提出内容の確認依頼も必要になります。レセプトの記載内容に不備があると、診療報酬の減額や返戻(=レセプトが医療機関に戻ってきて、精査・修正のうえ再提出を求められること)につながるため、不明点は医師と連携してよく確認するようにしましょう。最後に医師による確認を経て、作成した全レセプトの記載内容がすべて正しく整ったら、レセプトの作成作業は終了です。この後、レセプトと診療報酬請求書を審査支払機関に提出しましょう。

レセプト作成のスキルを身につけよう

ひと昔前までは、レセプトを手作業で作成することが医療事務の主な業務でしたが、コンピュータによる自動化が進み、今ではレセプトが正しく作成されているかを点検することがレセプト業務の主役となっています。レセプト業務に関する知識とスキルが、医療事務資格試験のなかで最も難しいポイントとされるのは、この点検に必要な複雑な算定ルールと、診療行為や処方薬についての正しい知識を身につけなくてはならないからです。ただし、身につけることが難しい分、資格を持っていることの価値が高いと言うこともできます。レセプト業務を中心とした医療事務の資格は、診療行為や処方薬についての正しい知識、スキルを有する専門職の証明であり、就職にも有利になる価値ある資格だと言えるでしょう。

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