2021年11月01日

国家資格ではないものの、医療事務の資格を取得する5つのメリット

医療事務には、複数の資格が存在します。医療事務として働くためには、資格がないといけないのでしょうか?また、資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?さまざまな面から解説します。

医療事務の資格は、すべて民間資格

医療事務のお仕事には、関連する資格が複数あります。それぞれに特徴がありますが、すべてに共通しているのは、国家資格ではなく、民間の団体や学校などが運営している民間資格であるということです。
では、国家資格と民間資格は、何が違うのでしょうか? 国家資格とは、法律に基づいて、国が認定する資格です。なお、国家資格には、医師や弁護士のように、資格を持っている人だけが業務を行える「業務独占資格」と、保育士や介護福祉士のように、資格を持っている人だけがその名称を名乗れる「名称独占資格」があります。

一方、民間の団体や学校、企業などが認定する資格が、民間資格です。
医療事務に関わる資格は、すべて民間資格で、資格を取得しなくても医療事務のお仕事に就くことはできます。しかし、医療事務として働いている人の多くが、医療事務関連のなんらかの資格を取得している、または、取得を目指しているのが現実です。それは、資格を取得することで、メリットが期待できるからです。では、どのようなメリットがあるのでしょうか?

医療事務の資格は必要?

医療事務職に、資格の取得は義務付けられていません。実際の求人案件にも、「資格不問」としているものが見られます。では、わざわざ時間と労力をかけて勉強する必要性はどこにあるのか?と、疑問に思われる方がいるかもしれません。
資格を取得する過程で学んで身につく知識やスキルは、どれも医療事務の現場で必要になることばかりです。医療事務のお仕事は非常に専門性が高く、就職してから現場で学ぼうと思っても、簡単に身につくものではありません。そのため、「就職前に勉強しておかないと、就職してから業務についていけなくなるのではないか」と不安に思って資格取得を目指す人もいるようです。また、実際に就職してから「資格を取得しておいてよかった」と感じる人は多いようです。
そのほか、医療機関では、診療報酬を請求するためのレセプトコンピュータが使われていることが多く、コンピュータ操作のスキルがあることを示せれば、採用選考で有利に働くこともあります。
それでは、医療事務に必要な知識やスキルの証明にもなる資格には、どのようなものがあるのでしょうか?
一般によく知られている医療事務の資格試験としては、「医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)」「医療事務技能認定試験」「医療事務管理士®技能認定試験」「診療報酬請求事務能力認定試験」などがあります。合格するために必要な知識やスキルは、それぞれの資格によって若干異なりますが、ほぼ共通しているのは、次のような知識・スキルです。

・受付業務の知識・スキル
患者様の来院から会計まで、受付業務の流れに関する知識や、患者様応対のスキルが求められます。

・診療報酬請求にかかわる知識・スキル
医療機関が健康保険組合などに医療費の請求を行う「診療報酬明細書(レセプト)」を作成するために必要な点数計算の知識や、カルテに記載された内容を読み取るスキルが問われます。

・医療保険制度や医療に関する知識
医療保険制度のしくみのほか、基本的な傷病の種類や名前も、理解しておく必要があります。

[興味がある方は、こちらもご覧ください]
未経験から医療事務になるための3つのステップ

医療事務の資格を取得する5つのメリット

医療事務の資格を取得するメリットについて、もう少し詳しく紹介します。

1.就職後、すぐに活躍できる

医療機関でのお仕事は、往々にして多忙になりがちだと言えます。そのため、採用後の研修でも、初歩的なことから、手取り足取り丁寧に教えてくれるとは限りません。特に、スタッフの人数が限られている小規模なクリニックなどでは、就職後は早々に、即戦力として業務を任されることも多いようです。
そのような場合でも、資格取得のための学習を通して、基本的な知識や業務の流れを、あらかじめ理解していれば、比較的スムーズにお仕事を覚えて、活躍することができるでしょう。

2.採用選考でアピールできる

医療事務の資格を取得していれば、採用選考でもアピールすることができます。面接官の目には、就職後に初歩から学べばよいと思っている人よりも、就職前から医療事務に関する知識やスキルを学んでいる人のほうが、即戦力として期待できると映るでしょう。
また、「資格試験に合格した」という事実を、新しい事柄に対する理解や吸収力を備えている人物の証だと判断してもらえる可能性もあります。

3.希望の勤務形態や勤務時間で、働きやすくなる

医療事務の求人案件のなかには、「資格不問」としているものも見られますが、一方で、「資格取得者は優遇」としている案件も多数あります。資格があれば、選択肢が広がり、より多くの求人案件のなかから、お仕事を探すことができます。希望の勤務形態や勤務地、勤務時間で、働ける確率も高くなるでしょう。

4.転職時にも、知識・スキルの証明になる

働き方や職場の雰囲気が自分に合わなかったり、あるいは家庭の事情などで別の医療機関へ転職したりすることがあるかもしれません。再就職の際は、経験者として応募すると思われますが、採用側にとっては、ただ経験者というだけでは、実際に現場でどれぐらい仕事をこなせるかを把握できません。業務内容によっては、医療機関ごとに方法や手順が異なることもあるからです。
資格を取得していれば、どの程度の知識や技能を持っているかが客観的にわかるため、身につけたスキルを適切に評価してもらいやすくなります。

5.収入面でプラスになる可能性もある

医療機関によっては、お仕事の内容が同じでも、資格保有者に対しては、資格手当などを支給する場合があります。また、働きながら資格を取得した人に対して、「報奨金」などの形で手当を支給する医療機関もあります。

医療事務の資格取得に失敗したら?

医療事務の資格を取ろうと決意しても、誰もが一度の挑戦で簡単に合格できるわけではありません。それぞれの資格によって、難易度や合格率は違いますが、残念ながら不合格となることもあるでしょう。
だからと言って、「自分は医療事務に向いていないのではないか」とすぐに諦める必要はありません。
たとえ不合格だったとしても、合格を目指して学んできた内容は、自分自身の知識として蓄積されているはずです。「これで、合格に一歩近づけた」と、前向きにとらえましょう。ぜひ、自分が納得できるまで学んだうえで、資格試験に再チャレンジすることをおすすめします。
なお、資格取得に向けた各種教育講座のなかには、ニチイの医療事務講座のように、試験に不合格であっても、一定期間内であれば、引き続き追加料金不要で講座を聴講できるものもあります。資格講座を選ぶときは、そうしたサポート体制の有無も確認しておきたいところです。

医療事務の資格は、医療事務職を目指す人の心強い味方

ここまで紹介したように、医療事務に関連する資格は、いずれも民間資格で、国家資格ではありません。また、必ずしも資格がなければ医療事務のお仕事ができないわけではありません。
しかし、資格を取得するために学ぶことで、医療事務のお仕事で必要になる知識やスキルを、幅広く身につけることができます。また、資格を取得すれば、採用選考でアピールでき、自分自身のスキルを客観的に評価してもらえる可能性も高くなります。
さらに、医療事務の資格は地域限定ではなく、日本全国どこでも通用します。将来にわたり長く医療事務として働こうと考えている人にとって、資格は心強い味方だと言えるでしょう。これから医療事務のお仕事を目指すのであれば、まず、医療事務の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

PAGE TOP