2023年10月27日

ケアマネジャー(ケアマネージャー)になるには?試験の受験資格や資格取得方法について

介護を必要としている人と介護サービスを提供する事業所や施設とを繋ぐ橋渡し的な役割を担うケアマネジャー(ケアマネージャー、介護保険制度上では「介護支援専門員」)。超高齢社会において活躍の場も多く、ニーズの高い資格です。この記事では、これまでの経験を活かしてケアマネジャーの資格を取得し、キャリアアップを図りたいという人のために、近年の資格試験の動向に留意し、受験資格と試験内容について詳しく見ていきます。

ケアマネジャー(ケアマネージャー)の資格について

ケアマネジャーとは、介護サービスの計画を立てるプランナーであり、介護サービスのトータルコーディネーターとしての役割を担う専門職です。

ケアマネジャーになるためには、勤務先(または住居地)の都道府県で年に1回実施される「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)」に合格し、実務研修を修了後に各都道府県に登録する必要があります。2000年4月の介護保険制度導入に伴い創設された各都道府県知事の登録を受ける公的資格です。

保健・医療・福祉に関する国家資格保有者としての実務経験が5年以上かつ従事日数が900日以上など、細かく受験資格の条件が設けられています。また、資質と深い経験が求められるだけでなく、高齢者の身体と心についての知識や、介護保険に関わる法律や制度に関する知識も問われるため、比較的難易度の高い資格といえるでしょう。

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ケアマネジャー(ケアマネージャー)試験の受験資格・試験内容について

近年、ケアマネジャー試験のあり方が検討されています。2015年度(第18回)試験から免除科目が廃止され、2018年度(第21回)試験より、受験資格にも変更があったため、受験資格と試験内容については特に注意が必要です。

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受験資格

従来は介護などの業務従事者などについても受験資格が与えられていましたが、2018年度(第21回)試験から条件が厳格化され、以下①②のいずれかを満たす人が対象となりました。


①特定の国家資格を保有している人

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士のいずれかを保有し、これらの国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上であれば受験資格を得られます。


②介護施設などで相談援助業務などに従事している人

上記の国家資格を保有していない場合でも、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、受験資格に定められる相談援助業務に通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数があれば、受験資格が与えられます。

各都道府県において若干異なる場合があるため、受験資格の詳細は受験地の担当部署に確認し、きちんと把握しましょう。


試験内容

ケアマネジャー試験の問題形式は5つの選択肢から正しいものを複数選んで回答する五肢複択式であり、ほとんどの都道府県で解答はマークシート方式が採用されています。試験時間は120分間ですが、身体に障がいがあるなどの理由で配慮が必要な場合の受験時間は別途定められています。問題数は合計60問あり、「介護支援分野」から介護保険制度の基礎知識、要介護認定等の基礎知識、居宅・施設サービス計画の基礎知識等の内容で25問、「保健医療福祉サービス分野」から保健医療サービスの知識等の内容で20問、福祉サービスの知識等の内容で15問の計35問が出題されます。

合格ラインは、各分野の正答率70%程度を基準としていますが、問題の難易度によって毎年補正されています。合格目安として各分野70%以上の正答率を目標にするとよいでしょう。


ケアマネジャー(ケアマネージャー)になるには最短何年必要?

ケアマネジャー試験を受けるには、受験資格に必要な「実務経験」を満たさなくてはいけません。介護職員からケアマネジャーになるには、どれくらいの年数がかかるのか、保有資格ごとに見ていきましょう。

保有資格:介護福祉士(国家資格)の場合

国家資格の介護福祉士を取得している場合は、5年の実務経験でケアマネジャー試験に挑戦できます。正職員やパート、登録型、派遣など雇用形態は問いません。

ただし、介護福祉士を取得する前の年数はカウントできないので注意してください。また、実務経験に加えて900日以上の従事日数が必要なため、休業期間がある人は確認しておきましょう。

保有資格:介護職員初任者研修の場合

介護の入門資格である介護職員初任者研修を修了している場合、ケアマネジャーの資格を取得するのに最短で5~8年必要です。ケアマネジャー試験は、介護福祉士などの国家資格がないと受験できません。介護福祉士の資格取得には、3年の実務経験(540日以上の従事日数)と介護福祉士実務者研修の修了が条件になるため、まずは介護福祉士の資格取得を目指します。

介護福祉士の資格を取得後、5年の実務経験(900日以上の従事日数)を積めば、ケアマネジャー試験に挑戦できます。

保有資格がない場合

ケアマネジャー試験の受験には介護福祉士などの国家資格が必須のため、無資格からケアマネジャーを取得する場合は最短で8年必要です。まずは、介護の入門資格である介護職員初任者研修を修了し、その後、介護職員初任者研修を所有している場合と同様に、3年の実務経験(540日以上の従事日数)と介護福祉士実務者研修の修了を経て、介護福祉士の資格取得を目指すのが一般的です。

実務者研修は初任者研修を修了しなくても受講することができますが、初任者研修を修了してから実務者研修を受講する場合、基本的な介護の知識や技術はすでに習得済みのため、受講科目が一部免除されます。介護業務未経験から介護分野で活躍したい人は、まずは初任者研修を受講するのがおすすめです。

介護福祉士の資格を取得後、5年の実務経験(900日以上の従事日数)を積めば、ケアマネジャー試験に挑戦できます。

ケアマネジャー(ケアマネージャー)試験の試験日程と合格率について

試験日程

【試験日程】2023年10月8日(日)
【受験申込期間】2023年6月上旬~下旬(※都道府県によって異なります)
【合格発表】2023年12月4日(月)
【問題数/試験時間】60問/120分
【受験手数料】7,800円~14,400円
※都道府県によって異なります。例えば、東京都の場合は12,400円(その他に払込手数料148円がかかります)。

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)は年に1回実施されており、例年10月の中旬~下旬に行われています。受験申込期間は6月上旬から1ヵ月程度です。申込期間や受験手数料は都道府県によって異なりますので、受験する各都道府県の試験要項を早い段階で確認しておくようにしましょう。

試験に合格した人には、実務研修の案内が通知され、試験翌年に実務研修が実施されます。研修を修了し、介護支援専門員資格登録簿へ登録すると、晴れてケアマネジャーになることができます。


合格率

ケアマネジャーになるための「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格率は10~20%前後と低めで、難易度の高い試験として知られています。2018年度(第21回)~2022年度(第25回)の直近5年間の合格率は10.1%、19.5%、17.7%、23.3%、19.0%と推移しています。

ケアマネジャー(ケアマネージャー)試験の受験申込手続きから合格発表までのスケジュール

受験申込書類(願書)の受け取り

時期:4~5月頃
受験する都道府県から受験要項・受験申込書類(願書)を受け取ります。このとき、自分の受験地を間違えないようにしましょう。
受取場所は、各都道府県庁や市町村役所などの介護保険担当窓口、地域包括支援センターなどです。詳細については、各都道府県のケアマネジャー試験実施団体にお問い合わせください。一部の地域では、郵送で取り寄せることもできます。

受け取りの際は、受験地を間違えないように注意してください。申込日時点で受験資格該当業務に従事している場合、受験地となる都道府県は勤務地のある都道府県です。また、申込日時点で受験資格の対象となる業務に従事していない場合は、住所地のある都道府県となります。

受験地は選ぶことができず、誤って申し込んだ場合には受け付けされません。各都道府県によって申込期間や受験申込書類が異なるため、該当する受験地に申し込みをし直そうと思っても、受験申込書類(願書)の受け取りや申込期間を過ぎてしまい、受験できなくなることもあるので注意してください。

受験申し込みの手続き

時期:5~7月頃
受験申込書類(願書)を受け取ったら、期日までに必要書類の準備、受験料の払い込み、書類の発送などの手続きを済ませましょう。必要書類は受験申込書類(願書)、実務経験(見込)証明書、国家資格免許証の写し、受験用写真、受験料の払込票などです。詳細は、各都道府県が配布する受験要項を確認してください。

勤務先に「実務経験(見込)証明書」を発行してもらわなければならないため、早めに手配しておくと安心です。実務経験証明書が見込みの場合や、同一期間に複数の事業所で働いていた場合などには、必要な書類が異なります。詳細は、各都道府県が配布している受験要項を確認してください。

受験票の受け取り

時期:試験の約1ヵ月前
書類や受験資格に不備がなければ、試験の約1ヵ月前に受験票が届きます。届かない場合は、各都道府県のケアマネジャー試験実施団体にお問い合わせください。受験資格審査に通らず受験できない場合も、その旨の通知が届きます。

本試験日

時期:10月
受験票に記載されている試験会場で本試験を受けます。受験票には試験当日の注意事項も書かれていますので、事前によく読み、受験会場も確認しておきましょう。受験票の記載内容に誤りがないかの確認も重要です。

合格発表

時期:11月下旬~12月上旬
試験に合格した人には、実務研修の案内が通知されます。実務研修の修了後、3ヵ月以内に「介護支援専門員資格登録簿」に登録し「介護支援専門員証」の交付を受けると、ケアマネジャーとして働くことができます。

ケアマネジャー(ケアマネージャー)試験合格後の流れ

ケアマネジャー試験に合格しても、すぐにケアマネジャーとして働けるわけではありません。合格後の流れを見ていきましょう。

「介護支援専門員実務研修」を受講する

合格後にまず必要なのは、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修(以下『実務研修』)」の修了です。合格すると受講の案内が来るので、確認しましょう。

実務研修は年に数回、各都道府県で実施されています。内容は、講習(87時間以上)+居宅介護支援事業所での実習(原則3日間)です。

各都道府県の「介護支援専門員資格登録簿」へ登録申請

実務研修を修了して研修修了書を受け取ったら、各都道府県の「介護支援専門員資格登録簿」へ登録申請を行いましょう。実務研修修了日から3ヵ月を経過すると登録できなくなるので、注意が必要です。必要書類や申請先などは、各都道府県の案内に従ってください。

介護支援専門員証の交付申請

ケアマネジャーとして働くには、都道府県知事が発行する介護支援専門員証の交付申請が必要です。手数料は別途かかりますが、介護支援専門員資格登録簿と同時に行えるので、併せて申請しましょう。

受験資格があるなら、ケアマネジャー(ケアマネージャー)にチャレンジしてみませんか?

ケアマネジャーには、介護に関する豊富な経験・知識と責任感の強さが求められますが、高齢者の生活を支える重要なお仕事であり、その分やりがいもあります。
介護のお仕事でより責任のあるポジションでやりがいを持って働きたいという人は、介護業界における上位資格であるケアマネジャー資格の取得をぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

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[初回公開日 2020年01月24日]

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