2019年09月26日

いざという時に役に立つことも?介護の「ボディメカニクス」とは?

人の体を起こしたり、支えて歩いたり、時には持ち上げることもある介護の身体介助。「介助する側には、力が必要で身体への負担も少なからずある」といったイメージをお持ちの方も多いと思いますが、今回は、身体介助を力任せにすることなく、介助する側も、される側も楽に行うことができる「ボディメカニクス」の活用についてご紹介します。

ボディメカニクスについて知ろう

介護の場面では、寝返りや起き上がり、移乗や歩行など、様々なシーンで要介護者の身体を支える必要があります。そこで知っておきたいのが、ボディメカニクスです。寝返り・移乗・歩行など身体介助のあらゆる場面で、ボディメカニクスの活用は介護の基本となりますので、しっかりとした知識と技術を身につけておきましょう。

ボディメカニクスとは

ボディメカニクスとは、「body=身体」と「mechanics=機械学」の造語で、人間が動作するときに骨や筋肉、関節が相互にどのように作用するかといった力学的関係を活用したものであり、介護に携わる人にとっては、ぜひとも身につけておきたいものです。

ボディメカニクスを活用すると、最小限の力で身体介助をすることができますので、介助する側・される側双方の身体的負担を軽減できます。また、ボディメカニクスを身につけておくと、お仕事としての介護だけでなく、育児や家族の看護・介護にも役立ちます。

ボディメカニクスの基本原理

ボディメカニクスは、7つの原理から成り立っています。

①支持基底面積を広くする

体重を支えるために必要な床面積を「支持基底面」といい、これを広くすることで介助する際の安定感が確保できます。足を揃えて直立したときより、肩幅くらいに両脚を開いた姿勢の方が安定するのはこのためです。介護のお仕事の場面では、介護職員が両足を前後・左右の対角線上に大きく開くことで安定感をアップさせています。

②重心の位置を低くする

支持基底面を広くし、膝を曲げて身体の重心を低くすると、安定感がよりアップします。これは介助する側の腰痛予防にもつながります。

③重心の移動をスムーズにする

重いものは一旦持ち上げてから移動させると、重力の影響を大きく受けて重く感じてしまいます。そのため、移動介助の際にはなるべく持ち上げないで、水平方向にスライドさせるようにすると楽に動かすことができます。

④重心を近づける

重い荷物の入ったリュックサックは、肩紐を短くして背中に沿わせると楽に背負うことができます。それと同じように、身体介助では、要介護者と身体を密着することで重心を近づけて安定感を確保し、介助する側の力を入れやすくします。

⑤てこの原理を使う

支える部分(支点)・力を加える部分(力点)・加えた力が働く部分(作用点)の関係を利用すると、小さい力でもしっかり支える介助ができます。例えば、自分よりも体格の大きな要介護者を介助する場合は、要介護者の膝や肘を支点にして遠心力を利用すれば、サッと上体を起こすことができます。

⑥身体を小さくまとめる

同じ重さであれば、大きいボールより小さいボールの方が動かしやすいのと同じで、身体介助でも、要介護者に腕や膝を曲げてもらい、身体全体を小さくまとめてもらうと楽に介助できます。

⑦大きな筋群を使う

身体介助は、腕だけなど一つの筋肉だけでなく、腰・脚・背中といった全身の大きな筋肉を一緒に使うことで、身体の一部分への負担を減らすことができます。

ボディメカニクスはどんなシーンで役立つ?

ボディメカニクスは特に身体介助の場面で役に立ちます。具体的なシーンをご紹介しましょう。

ボディメカニクスの活用例

立ち上がる

要介護者に椅子に座った姿勢から立ち上がってもらうときには、重心移動を意識して介助をします。要介護者の腕を介助者の肩にまわしてもらい、介助者は腰を落としてなるべく重心を下げ、両腕を要介護者の背中にまわします。その後、要介護者に前かがみになってもらい、一緒に立ち上がります。立ち上がったときに要介護者の重心線(重心通る垂直線)が支持基底面に収まっていると、姿勢が安定しやすくなります。

cl034_01.jpg

身体の向きを変える

ベッドなどで仰向け(仰臥位)になっている要介護者の体勢を変えるときには、身体を小さくまとめてもらい、「てこの原理」を使いましょう。すると、介助する側が小柄でも簡単に姿勢を変えることができます。これをトルクの原理とも言います。

座る

要介護者に椅子などに座ってもらうときには、介助する側は支持基底面を広く取り、要介護者と一緒に腰を落として介助しましょう。そうすることで、双方がより安定して体勢を変えることができます。

歩く

歩行介助では、介助者が要介護者の斜め後ろに立って、歩行を妨げない範囲で身体を近づかせ、バランスを崩したときに支えられるポジションにつくことが大切です。要介護者と密着しすぎると、体重移動・重心移動を妨げてしまい、かえって歩きにくいこともあります(要介護者の身体の状態によって、介助の仕方は異なります)。

ボディメカニクスを身につけるメリット

ボディメカニクスを活用すると、介助者の負担が軽減されるとともに、介助者の身体を守ることにもつながりますが、実は、介助される要介護者にとっても、身体的・心理的負担が軽くなるというメリットがあります。力任せに介助されると、要介護者が動きにくかったり、不安定な体勢で介助されると不安に感じることもあるでしょう。

このように、ボディメカニクスの活用は、介助する側・される側双方にとってメリットがあります。お仕事として介護に携わる際にはもちろんのこと、育児で子どもを抱えて移動する際や、家族の看護や介護をしなければいけない状況が訪れた際にも活用できるので、身につけておけば、きっと役に立つでしょう。

ボディメカニクスを身につけよう

ニチイの「介護職員初任者研修」や「実践介護講座」では、ボディメカニクスを学ぶことができます。全国13万人のお客様に実際に介護サービスを提供している介護事業者の介護講座なので、実践で役立つスキルを身につけることができます。これまでに累計100万人以上がニチイの介護講座でボディメカニクスを学んでいます! ぜひ、この機会にあなたもニチイの介護講座を受講してみてはいかがでしょうか。

cl034_02.jpg

PAGE TOP