
2018年04月24日
介護職員初任者研修って、どんな内容を学ぶの?
高齢化が進むなか、今ますます求められる介護人材。介護の仕事に就くためには、どのような準備が必要なのでしょう?ここでは、介護の仕事を目指す方に向けて、介護の入門編ともいえる「介護職員初任者研修」の学習内容について説明します。
介護職員初任者研修では、どんなことが身につくの?
介護の仕事では、高齢者や障がいのある方の日々の生活、自立をサポートします。食事や入浴、着替え、移動など、さまざまな場面で、介護される人の状態に応じて、適切に対応することが求められます。そのためには、しっかりとした介護の知識と技術が欠かせません。

「介護職員初任者研修」では、介護職に求められる基礎知識や基本的な介護技術を身につけます。まさに、介護の仕事をするための、最初の入り口となる研修です。
介護職員初任者研修のカリキュラムは、どんな内容?

介護について知識や経験がないのに、学んだり、資格を取得したりするのは大変なのでは...? と不安に思われるかもしれません。具体的に何を学び、どのような方法や期間で資格を取ることができるのかを見てみましょう。
学習する内容
介護職員初任者研修で学ぶ科目は、次のとおりです。講義と演習で構成され、約130時間を要します。
研修科目 | 時間数 |
---|---|
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
それぞれの科目は、次のように、基本的な知識から実践的な内容まで、幅広くカバーしています。
【職務の理解】
まず、介護の職種やサービス・施設など、職務内容について学ぶところからスタートします。
【介護における尊厳の保持・自立支援】
介護にあたって大切にすべき、人の尊厳や権利、介護サービス利用者の能力に応じた自立支援など、基本的な理念を学びます。
【介護の基本】
介護で求められる専門性や職業倫理、他の職種との連携、事故や感染などのリスクマネジメントなど、実際の仕事で押さえておくべき基本を学びます。
【介護・福祉サービスの理解と医療との連携 】
「介護保険制度」や「障害者総合支援制度」など、介護に欠かせない制度やサービスの理念やしくみを学習します。また、医療・リハビリテーションなどとの連携についても学びます。
【介護におけるコミュニケーション技術】
介護サービス利用者やその家族との信頼関係を築くコミュニケーションや、職員同士の情報共有など、コミュニケーションの重要性や考慮すべきポイントなどを学びます。
【老化の理解】
加齢による身体や心の変化、疾病による症状や訴えなど、日常生活への影響を学びます。
【認知症の理解】
認知症とはどのようなものなのか、基礎知識や健康管理、心身や生活にもたらされる変化、必要なケアなどを学びます。
【障害の理解】
障害福祉の基礎知識や、心理・行動の特徴、本人や家族への支援などについて学習します。
【こころとからだのしくみと生活支援技術】
介護技術の根拠となる人体構造や機能、安全な介護サービス提供方法などの基礎を学び、現場で必要とされる「車いすの介助」「入浴介助」「着脱介助」「体位変換」などの実技演習を行います。ロールプレイングを行いながら、基本的な介護技術を身につけます。
【振り返り】
研修全体を振り返り、重要なポイントや疑問を改めて確認することで、知識と理解を深めます。
学習方法と期間
介護職員初任者研修は、自宅でのテキスト学習と教室に通学しての学習を組み合わせた形で行われます。自宅学習では、介護職としての職務、社会保障制度やサービス、コミュニケーション技術などの基礎知識を身につけます。テキストで学び、レポートを提出し、添削を受けて知識を定着させていきます。教室では、講義のほか、実際に体を動かしながら、車いすの介助や排泄介助など、さまざまな実技を学びます。養成校や実際に通うクラスにもよりますが、研修修了までだいたい1.5ヵ月~4ヵ月程度かかります。
資格取得までの道
すべてのカリキュラムを終え、レポートなどにすべて合格した後に、養成校にて1時間程度の修了試験が行われます。研修で学んだことを、きちんと理解しているか確認するためのもので、しっかり復習をすれば合格できる内容です。すべての修了条件を満たした方には、修了証明書が発行されます。これは、確かな介護の知識と技術を持っていることの証として、一生涯、全国で通用するものです。
介護業界への最初の一歩、初任者研修に挑戦しよう
ここまで、介護の仕事の最初の一歩ともいえる介護職員初任者研修の学習内容について紹介してきました。介護の仕事に対する需要は高く、就業先としても特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの介護保険施設、有料老人ホーム、グループホームなどの居住系介護サービス、デイサービス(通所介護サービス)、訪問介護サービスのほか、医療機関など、幅広い選択肢があります。
また、経験を重ねて、介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格を取得すれば、より専門的な仕事に携わることもできます。まずは、介護職員初任者研修を修了して、介護業界への最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
