2021年07月30日

介護職員初任者研修とは?

介護のお仕事には、関連する資格がいくつかあります。そのなかでも介護職の入門資格とされているのが、「介護職員初任者研修」です。この記事では、取得するとどのようなメリットがあるのか? ほかの資格とはどのように違うのか? 取得するための方法は? など、「介護職員初任者研修」について、詳しく紹介します。

介護職員初任者研修の資格について

どんな資格なの?

介護職員初任者研修は、介護職員として働くために必要な基礎知識と技術が、備わっていることを証明する資格です。厚生労働省が示す指針の下、各都道府県から指定を受けた養成校が実施する研修を受講し、修了試験に合格することで得られる資格です。

介護の仕事には、大きく分けると「生活援助」と「身体介護」の2種類があります。「生活援助」は、調理や掃除、買い物といった要介護者の日々の暮らしをサポートするお仕事で、「身体介護」は、入浴や食事、排せつの手助けなど、要介護者の身体に触れるサポートを行うお仕事です。

「身体介護」を行うには、高齢者や障がい者が直面している、さまざまな状態に合わせた支援ができる専門知識と技術が必要です。それらの専門知識や技術を持っていることの証になるのが、「介護職員初任者研修」の資格なのです。

未経験・無資格でも資格取得を目指せる?

介護職員初任者研修は、いくつかある介護関連の資格のなかでも、いわば入門的な資格として位置づけられています。介護職員として働くために、介護関連の資格取得を目指すのであれば、いちばん最初に候補に挙がる資格と言ってよいでしょう。

介護関連のほかの資格には、取得するために条件や制約が定められているものもあります。対して、「介護職員初任者研修」には、年齢や学歴、国籍などによる制限はありません(スクールによっては、年齢制限を設けている場合があります)。介護業務が未経験でも、ほかの資格がなくても、所定の研修を受講して修了すれば、取得することができます。「学びたい」「資格を身につけたい」という気持ちがあれば、誰にでも道が開かれていることも、入門資格として普及している理由の1つでしょう。

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介護職員初任者研修の資格を取得するメリット

お仕事内容でのメリットはある?

介護職員初任者研修の資格を取得すれば、上述のように、「生活援助」だけでなく、「身体介護」ができるようになります。対応できるお仕事の幅が大きく広がることで、活躍できる場も増えるでしょう。代表的なお仕事の内容は、こちらをご覧ください。

キャリアアップでのメリットはある?

介護職員初任者研修は、さまざまな介護関連の資格のなかでも、スタートライン的な資格とされています。介護職未経験の方や、介護関連の資格を持っていない方が、最初に取得するには最適でしょう。ステップアップの観点から、代表的な介護関連の資格を並べると、図のようになります。

この図にあるように、介護職員初任者研修の上位資格として位置づけられているのが、「介護福祉士実務者研修」です。介護福祉士実務者研修の資格取得を目指す際に、介護職員初任者研修の資格取得者は、一部の研修を免除されるというメリットがあります。

なお、「介護福祉士実務者研修」を取得すると、さらにその上位の国家資格である「介護福祉士」を目指す際に必要な受験資格が得られます。「介護福祉士国家試験」の受験資格を得るためには、いくつかの方法がありますが、そのうちの1つ"介護の実務経験3年以上"で受験する場合は、「介護福祉士実務者研修」の取得が条件とされているのです。介護福祉士国家試験の受験資格については、こちらをご参照ください。

初任者研修と実務者研修との違いは?

介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修のどちらも、ほかに介護関連の資格を持たない、無資格の状態で取得できる点は同じです。では、どこが違うのでしょうか?

大きな違いとして挙げられるのは、学習する内容のボリュームです。入門資格である介護職員初任者研修は、振り返りも含め、10科目を学び、講義と演習(実技)を合わせた学習時間は、約130時間です。それに対して、上位資格にあたる介護福祉士実務者研修では、それぞれ20科目・約450時間となります(無資格で受講する場合)。

また、実技の研修も、両者では内容差があります。介護職員初任者研修では、車いすの介助や排せつ介助など基本的な介助技術を身につけるのに対し、介護福祉士実務者研修では、基本的な技術に加え、たん吸引や経管栄養などの医療的ケアの基礎知識も習得します。資格を取得してできるようになることも、両者では異なります。

介護職員初任者研修の資格を取得すれば、「身体介護」のお仕事ができるようになりますが、介護福祉士実務者研修の資格があれば、「サービス提供責任者」として、訪問介護サービスの計画立案、実施、管理など、責任者としてのお仕事もできるようになるのです。

このように、資格取得のために身につけるべき内容も、学習の負荷も、介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修では、大きく異なります。介護関連の資格をまず1つ取得したいと考えるのならば、介護職員初任者研修がおすすめと言えるでしょう。

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介護職員初任者研修のカリキュラム、試験、費用

どんなカリキュラムで学ぶ?

介護職員初任者研修は、厚生労働省の指針に基づいて、各都道府県から指定を受けた養成校が実施しています。資格を取得するには、これらの指針に定められた所定のカリキュラムを受講し、修了試験に合格しなければなりません。

研修を通じて学ぶのは、高齢者や障がい者の生活、自立を支援するための知識と技術。そのためのカリキュラムは、下表のとおりです。これらを、養成校への通学約94時間(16日間)※に、自宅学習約36時間を加えた、合計約130時間で学びます。期間の目安としては、約1.5ヵ月~約4ヵ月です。

※ 東京都の例。都道府県によって異なります。

介護職員初任者研修で学ぶ項目
研修項目 内容 時間数
職務の理解 介護の職種やサービス・施設など、職務内容について 6時間
介護における尊厳の保持・自立支援 介護にあたって大切にすべき、人の尊厳や権利、介護サービス利用者の能力に応じた自立支援など、基本的な理念 9時間
介護の基本 介護で求められる専門性や職業倫理、他の職種との連携、事故や感染などのリスクマネジメントなど、実際の仕事で押さえておくべき基本 6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 「介護保険制度」や「障害者総合支援制度」など、介護に欠かせない制度やサービスの理念や仕組み。医療・リハビリテーションなどとの連携 9時間
介護におけるコミュニケーション技術 介護サービス利用者やその家族との信頼関係を築くコミュニケーションや、職員同士の情報共有など、コミュニケーションの重要性や考慮すべきポイントなど 6時間
老化の理解 加齢による身体や心の変化、疾病による症状や訴えなど、日常生活への影響 6時間
認知症の理解 認知症とはどのようなものなのか、基礎知識や健康管理、心身や生活にもたらされる変化、必要なケアなど 6時間
障害の理解 障害福祉の基礎知識や、心理・行動の特徴、本人や家族への支援など 3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術 介護技術の根拠となる人体構造や機能、安全な介護サービス提供方法などの基礎と、現場で必要とされる「車いすの介助」「入浴介助」「着脱介助」「体位変換」などの実技演習 75時間
振り返り 研修全体を振り返り、重要なポイントや疑問を改めて確認 4時間

上記の項目に加え、筆記試験による修了評価(1時間程度)を実施。

試験の内容は?

研修で、定められたカリキュラムを受講し、最後に修了試験(筆記試験)を受けます。修了試験に合格することで、修了証が発行され、介護職員初任者研修の有資格者となれるのです。

修了試験は、養成校ごとに行われ、実施される日時や出題内容は、それぞれ異なります。ただし、問題数は最低32問(各科目から1問以上)と決められています。試験時間は概ね1時間程度。100点満点中、70点以上を取れば合格となるようです。万一、不合格となった場合も、養成校によっては追試を受けられることもあります。

出題項目と科目の例(東京都の場合)
項目 科目(全32科目)
職務の理解
  • 多様なサービスの理解
  • 介護職の仕事内容や働く現場の理解
介護における尊厳の保持・自立支援
  • 人権と尊厳を支える介護
  • 自立に向けた介護
介護の基本
  • 介護職の役割、専門性と他職種との連携
  • 介護職の職業倫理
  • 介護における安全の確保とリスクマネジメント
  • 介護職の安全
介護・福祉サービスの理解と医療との連携
  • 介護保険制度
  • 障害福祉制度及びその他制度
  • 医療との連携とリハビリテーション
介護におけるコミュニケーション技術
  • 介護におけるコミュニケーション
  • 介護におけるチームのコミュニケーション
老化の理解
  • 老化に伴うこころとからだの変化と日常
  • 高齢者と健康
認知症の理解
  • 認知症を取り巻く環境
  • 医学的側面から見た認知症の基礎と健康管理
  • 認知症に伴うこころとからだの変化と日常生活
  • 家族への支援
障害の理解
  • 障害の基礎的理解
  • 障害の医学的側面、生活障害、心理・行動の特徴、かかわり支援等の基礎的知識
  • 家族の心理、かかわり支援の理解
こころとからだのしくみと生活支援技術
  • 介護の基本的な考え方
  • 介護に関するこころのしくみの基礎的理解
  • 介護に関するからだのしくみの基礎的理解
  • 生活と家事
  • 快適な居住環境整備と介護
  • 整容に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
  • 移動・移乗に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
  • 介護に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
  • 入浴、清潔保持に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
  • 排泄に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
  • 睡眠に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
  • 死にゆく人に関連したこころとからだのしくみと終末期介護

受講にかかる費用は?

研修の受講にあたって、費用が気になる方もいるかもしれません。どれぐらい見積もっておけばよいのでしょうか?

受講費用は、地域や養成校によって多少の差がありますが、5~10万円前後が多いようです。養成校によっては、分割払いの制度を設けていることもあります。例えば、10回分割払いなら、月の支払いを1万円以内に収めることができるでしょう。

要件を充たすことで、受講費用の一部を国が負担してくれる、「一般教育訓練給付制度」もあります。詳しくは、こちらをご覧ください。

また、介護事業を行っている事業者が運営している養成校などでは、資格取得後、系列の介護サービス事業所で働くことで、受講費用のキャッシュバックを受けられるといった制度も見られます。このような受講費用にかかわる特典も、忘れずに確認しておきたいものです。

一般教育訓練給付制度とは?

介護職員初任者研修の受講で、国の給付を受けられる場合があります。それが、一般教育訓練給付制度です。 一般教育訓練給付制度は、雇用保険の制度の1つで、働こうとしている人が教育訓練の受講に使った費用の一部が支給されるもの。「働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的」とされています(厚生労働省ホームページより抜粋)。

給付の申請や、給付金の受け取りは、住んでいる地域を所管しているハローワークで行います。給付の対象となるのは、厚生労働大臣より教育訓練給付の対象講座として、指定を受けている講座です。研修受講を申し込む際に、対象講座になっているかどうかを確認しましょう。また、給付を受けられる人は、雇用保険の被保険者(在職中)で、同じ職場に3年以上勤務しているか、被保険者でなくなった日(離職日)から1年以内に受講を開始した人とされています。ご自身が支給対象にあてはまるかどうかわからない場合は、ハローワークの窓口や書面での問い合わせができますので確認してみましょう。

支給対象に該当する場合、給付を受けられる金額は、受講費用全額のうちの20%です(上限10万円)。ただし、養成校に支払う受講費用が4,000円を超えない場合は、支給を受けられません。

なお、一般教育訓練給付金は、講座の受講修了後、1ヵ月以内にハローワークに書類を提出して申請します。受講前に申請することはできません。また、代理人や郵送による申請が原則として認められず、受講者本人が窓口に足を運んで申請します。申請時に必要となる提出書類は、次のとおりです。

必要な書類など 入手方法、注意点など
教育訓練給付金支給申請書 受講修了後に、養成校で用紙が配布されますので、必要事項を記入します。
教育訓練修了証明書 受講修了後に、養成校で発行されます。
受講料の領収証 クレジットカード支払いの場合は、クレジット契約証明書など。
本人・住所確認書類 次のいずれか(原本)。
運転免許証/マイナンバーカード/住民票の写し/雇用保険受給資格者証/国民健康保険被保険者証/印鑑証明書
マイナンバー確認書類 次のいずれか(原本)。
マイナンバーカード/通知カード/マイナンバーの記載がある住民票の写し
身元(実在)確認書類 次のいずれか(原本)。
マイナンバーカード/運転免許証/その他、官公署が発行する写真つきの身分証明書・資格証明書
金融機関の通帳またはキャッシュカード 給付を受ける際に、振込先として指定したい口座の名義・口座番号などがわかるもの。(一部の金融機関を除く)
教育訓練経費等確認書 ハローワークで提出する際に、窓口で渡される用紙に記入します。

詳しくは、厚生労働省が作成しているリーフレットでご確認ください。

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介護職員初任者研修の講座を選ぶ際のポイント

無理なく通えるクラスを選ぼう

介護職員初任者研修のカリキュラムは、厚生労働省の定めた指針にもとづいています。そのため、どの養成校を選んでも、受講する項目や時間数に差はありません。ただ、開講される日時や曜日、時間帯などは、養成校によって異なります。受講期間を見ても、1.5ヵ月ほどで修了できる短期集中型のクラスもあれば、4ヵ月ほどかけてじっくり学べるクラスもあるなどさまざま。平日開講と、土・日開講から選べたり、1週間あたりの回数を選べる養成校もあります。ご自身のスケジュールやライフスタイルも考えながら、よく吟味して、無理なく通えるクラスを選びたいものです。

養成校を運営している企業によっては、資格取得後の就職をサポートしてくれるところもあります。クラス選びの際の、ポイントの1つとして検討されてみてはいかがでしょうか。

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介護職員初任者研修の資格で、できるお仕事

資格があることで、お仕事の幅が広がる

資格がなくても、介護の現場で働くことはできますが、「身体介護」のお仕事は行うことができず、業務内容は「生活援助」に限定されます。「生活援助」は、調理や片付け、掃除、買い物など、日常生活のサポートが主体となります。要介護者にとって、必要なサポートであることに変わりはありませんが、専門知識を身につけ、資格を取得することで、介助できる範囲が広がり、より多面にわたって要介護者のサポートができるようになるのです。

介護職員初任者研修の資格取得者の活躍の場としては、例えば、次のようなサービスや施設があります。

[居宅サービス]

  • 訪問介護
    介護福祉士や訪問介護員が、要介護者の自宅へ出向いて、食事・入浴・排せつなどの身体介助や、調理・洗濯・掃除などの生活援助を行うサービス。
  • 通所介護
    デイサービスセンターなどの施設に通って来る要介護者に、食事・入浴・排せつなどの身体介助やリハビリテーションなどを行うサービス。
  • 介護付有料老人ホーム/グループホーム
    入居している要介護者に、介護や食事、家事、健康管理など、生活全般をサポートするサービスを提供する施設。

[施設サービス]

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
    要介護度3以上の高齢者のための生活施設。
  • 介護老人保健施設(老健)
    退院後すぐの在宅生活が難しい要介護者が、在宅生活への復帰を目指す生活施設。
  • 介護療養型医療施設
    医療が必要な要介護高齢者のための、長期療養施設。

介護職員初任者研修の資格を取得することで、サービスや事業所の種類にかかわらず、働ける場所の選択肢が広がります。

また、これらの施設では職員採用にあたって、介護職員初任者研修の資格取得を条件としていることが少なくありません。そうした点からも、介護の分野で知識や技術を身につけ、キャリアアップしたいと考えるならば、介護職員初任者研修の取得は、避けて通ることのできないスタートラインだと言えます。

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