2019年12月02日

要介護者の暮らしをサポートする福祉用具の専門家「福祉用具専門相談員」って?

介護を必要とする人のQOL(quality of life)向上に欠かせないのが、ベッドや車いすなどをはじめとする「福祉用具」。福祉用具を適切に利用してもらうために、福祉用具のレンタル・販売を行う事業所には、「福祉用具専門相談員」という専門の職員が配置されています。今回は、福祉用具専門相談員の具体的な役割・業務内容や就職先などについてご紹介します。

福祉用具専門相談員とは?

福祉用具専門相談員とは、福祉用具の専門家として、利用者が介護保険を使って福祉用具をレンタル・購入しようとするときに、その身体的状況や利用環境に応じて福祉用具を選定し、適切な利用方法や使い方をアドバイスする専門職員です。福祉用具の活用は利用者のQOL向上に直結することから、それを担う専門職として注目されています。

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福祉用具専門相談員の役割

福祉用具専門相談員は、単に福祉用具を貸し出したり、販売したりする役割を担うのではありません。利用者のケアプランを作成するケアマネジャーと連携し、利用者ごとに異なるさまざまな病状・障がいの状態を細かく把握して、利用者の生活環境も踏まえたうえで、総合的なアドバイスを提供する役割を担っています。適切な福祉用具に出会えるかどうかで利用者の日々の生活は大きく変わります。福祉用具専門相談員は、利用者のQOLに影響を及ぼす大きな役割を担っていると言えるでしょう。

福祉用具とは?

福祉用具とは、利用者の日常生活の自立を助けるための用具のことで、介護保険給付の対象となる福祉用具は、レンタルで13種目、購入で5種目あります。

◆レンタル13種目

車いす、車いす付属品、歩行器、歩行補助つえ、手すり、スロープ、特殊寝台、特殊寝台付属品、移動用リフト(つり具の部分を除く)、体位変換器、床ずれ防止用具、認知症老人徘徊感知機器、自動排泄処理装置

◆購入5種目

簡易浴槽、入浴補助用具(入浴用介助ベルト、入浴台、浴槽用手すり、入浴用いす、浴槽内いす、浴槽内すのこ、浴室内すのこ)、腰掛便座、自動排泄処理装置の部品(交換可能な部分)、移動用リフトのつり具部分

福祉用具専門相談員の業務内容とは?

福祉用具専門相談員の業務は、利用者の利用計画の立案にはじまり、実際の利用状況の定期的なモニタリングに至るまで、一貫したサポートを行うことです。

福祉用具専門相談員の業務内容

福祉用具専門相談員の業務内容は、大きく4つに分けられます。

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◆福祉用具サービス計画書の作成

まず、ケアマネジャーの立てたケアプランをもとにして、「福祉用具サービス計画書」を作成します。このとき、利用者とその家族の相談内容・希望を反映させ、具体的なサービス内容を記載することが大切です。その福祉用具を利用することによって、利用者の生活がどのように変わるのかという視点を持って計画書を作成します。

◆福祉用具の選定

作成した福祉用具サービス計画書に利用者の同意が得られたら、福祉用具の選定を行います。レンタル・購入する福祉用具はどのようなものが適しているのかを、利用者の身体の状態を細かに観察しながら提案します。

◆福祉用具の適合・取り扱い説明

レンタル・購入する福祉用具が決まると、次に、利用者の身体に合うように「適合(調整すること)」します。また、福祉用具を安全に・正しく利用できるように、取り扱い説明や利用方法のアドバイスも行います。

◆モニタリング業務

不自由が生じている身体をサポートするという福祉用具の性質上、実際に使用したところ「使いにくい」「利用シーンに合わず使わなくなってしまった」などの問題が起こることもあります。このため福祉用具の提供には、利用者宅を年2回訪問し、福祉用具の点検や利用状況の確認をする「モニタリング」が義務付けられています。レンタル・購入後に継続的なサポートを行うことも、福祉用具専門相談員の大切なお仕事なのです。

福祉用具専門相談員の就職先

福祉用具専門相談員の就職先には、福祉用具貸与・販売事業所がまず挙げられます。介護保険の指定を受けた福祉用具のレンタル・販売を行う事業所では、福祉用具専門相談員を配置することが義務付けられており、一定数の求人があります。

また、その他の就職先としては、福祉用具メーカー、介護保険を利用した住宅改修を行う福祉用具住宅改修事業所、スーパーやホームセンターなどの介護福祉用品売り場なども考えられます。特に近年では、高齢者人口の増加に伴い、スーパーやホームセンターでも介護福祉用品の品揃えが充実してきており、求人が活発化することも期待できます。

その他にも、現職のホームヘルパーやケアマネジャーなどがスキルアップのために福祉用具専門相談員の資格を取得し、今勤めている職場で、より高度なサービスを提供しようとする動きも見られます。

福祉用具専門相談員になるためには

福祉用具専門相談員になるには、「福祉用具専門相談員」の資格の取得、あるいは、福祉用具に関する知識を有している国家資格の取得が求められます。

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福祉用具専門相談員の資格を取得する

「福祉用具専門相談員」の資格を取得するためには、各都道府県知事の指定を受けた研修事業者が実施する50時間の「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、講習後に実施される修了評価試験(筆記)に合格する必要があります。受講資格には特に制限はなく、介護職の未経験者でも受講することができます。

福祉用具専門相談員の業務を行うことができる、その他の資格

福祉用具専門相談員の資格以外に、以下の資格を有している人も、福祉用具専門相談員としての業務を行うことができます。

・介護福祉士
・社会福祉士
・保健師
・看護師/准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・義肢装具士

なお、2015年の制度改正により、ホームヘルパー2級・1級、介護職員基礎研修や介護職員初任者研修の修了者は、福祉用具専門相談員の業務ができる資格の対象外となっています。

ホームヘルパー2級・1級や介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修を修了し、介護職員として働いている人は、スキルアップのために福祉用具専門相談員の資格を取得することで、活躍の場を広げることにもつながりますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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