2023年03月24日

介護のお仕事に就くために必要な資格とは?

少子高齢化が進むなかで、求人ニーズが高まっているのが介護のお仕事。今後もますますニーズが高まっていくことが予想されています。では、介護のお仕事に就くためにはどのような資格が必要なのでしょうか?

広がる介護職の活躍の場

介護職員は日本全国で需要が高く、訪問介護事業所や有料老人ホーム、デイサービス、医療機関など、さまざまな場所で必要とされています。年齢を重ねても働くことができるお仕事ですし、介護事業所は多くの地域に存在することから、自宅の近くで長く働きたい人に向いているお仕事の1つと言えるでしょう。

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介護のお仕事に必要な資格とは

では、介護関連の資格にはどういったものがあるのでしょうか。

入門資格である「介護職員初任者研修」、その上位資格である「介護福祉士実務者研修」、介護分野で唯一の国家資格である「介護福祉士」、介護計画を立案する「ケアマネジャー(介護支援専門員)」などが代表的な資格です。

このほかにも介護のお仕事に役立つ資格はさまざまにあります。

※資格取得に向けた教育講座について、興味がある方はこちらをご覧ください。
介護職員初任者研修
介護福祉士実務者研修
介護福祉士国家試験対策講座
ケアマネジャー受験対策パーフェクトゼミ


介護のお仕事に役立つ資格一覧

以下は、介護のお仕事に役立つ資格の一例です。一覧表の下に、さらに詳しい解説がありますので、興味がある資格については、ぜひ、そちらもご覧ください。

資格名称・概要
介護職員初任者研修 介護のお仕事に就くための入門資格。食事、更衣、入浴介助など、高齢者や障がい者に専門的サポートを行うことができます。
介護福祉士実務者研修 初任者研修と比べて習得する知識や技術の幅が広く、さらに専門的な資格。訪問介護の「サービス提供責任者」の任に就くこともできます。
介護福祉士 介護分野で唯一の国家資格。取得することで、介護スタッフを束ねるチームのマネジメントなど、管理者としての業務を行う機会も増えます。
認定介護福祉士 介護福祉士のなかでも、より質の高い介護の実践、サービスマネジメント、医療との連携強化、地域包括ケアなどの知識、技術を修得した証明となる資格です。
ケアマネジャー(介護支援専門員) 介護保険サービスに必要なケアプランの作成をしたり、介護施設入所者のための介護計画などを立てることができる資格です。
理学療法士 身体に障がいを持つ方の、座る・歩くなどの基本動作能力リハビリテーションの専門家です。
作業療法士 理学療法よりも応用的な動作能力や、社会的適応能力リハビリテーションの専門家です。
介護予防運動指導員 高齢者の転倒予防体操、尿失禁予防運動などの運動指導を行うことができる資格です。
福祉用具専門相談員 利用者が福祉用具をレンタル・購入する際に、その身体的状況や利用環境に応じた適切な利用方法についてアドバイスができる資格です。
レクリエーション介護士 高齢者の身体能力・健康維持のために、より質の高いレクリエーションを企画・実施できる知識と技能を有することを証明する資格です。
認知症介助士 認知症の症状についての正しい理解と、適切な支援方法やコミュニケーションについての知識と技能を有することを証明する資格です。
介護事務 介護報酬請求業務(レセプト作成)など、介護事業所の会計事務を行うための知識と技能を有することを証明する資格です。

介護に関する主な資格

介護職員初任者研修

介護のお仕事に就くための入門資格と言えるのが、介護職員初任者研修です。食事、更衣、入浴介助など、高齢者や障がい者にさまざまな専門的サポートを行うための知識と技術を身につけます。養成校での講座を修了し、修了試験に合格することで、修了証明書が交付され、資格取得となります。
受講するために必要な資格や経験はなく、未経験の方や無資格の方でもチャレンジすることができます。

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介護職員初任者研修って、どんな内容を学ぶの?
介護職員初任者研修の受講費用はどれくらい?
介護職員初任者研修なら、ニチイの講座がおすすめ


介護福祉士実務者研修

初任者研修と同じように、無資格・未経験でも受講することができますが、保有する介護の資格によって、養成校での受講科目が省略されます。講義や演習の内容は初任者研修と比べて幅広く、さらに専門的・実践的な知識と技術を身につけます。養成校での講座を修了し、修了試験に合格することで、修了証明書が交付され、資格取得となります。
次に説明する介護福祉士になるための「介護福祉士国家試験」を受験するためには、この実務者研修の修了と3年以上の実務経験が必要になります(実務経験ルートの場合)。

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未経験でも介護福祉士実務者研修は受けられる?介護職員初任者研修とはどう違うの?


介護福祉士

「介護福祉士国家試験」に合格して取得できる国家資格です。介護の現場では介護福祉士がリーダー的存在となり、身体介護や生活支援など介護サービスの提供だけでなく、介護サービス利用者やその家族からの相談対応やアドバイス、介護スタッフを束ねるチームのマネジメントなど、管理者としての業務も行います。
受験資格として、「介護業務に3年以上従事していて、実務者研修を修了している(実務経験ルート)」「福祉系高校にて定められた科目・単位を取得し卒業している(福祉系高校ルート)」など、いくつかのルートがあります。

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介護福祉士を目指すなら、受験資格を知っておこう


介護福祉士取得者におすすめの資格

認定介護福祉士

一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が、2015年から認定・認証を開始した民間資格で、介護福祉士の上位資格に位置づけられています。
受験資格は、「介護福祉士の資格取得後、5年以上の実務経験」「介護職員を対象とする研修の受講歴が100時間以上あること」などで、介護福祉士として一定以上のキャリアを重ねていることが必要です。


ケアマネジャー(介護支援専門員)

2000年に導入された介護保険制度に伴い公的資格として認められた資格で、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、実務研修の修了後に各都道府県に登録することが必要になります。介護保険や介護サービスの要であり、介護保険サービスを受ける際に必要なケアプランの作成をしたり、介護施設入所者のための介護計画などを立てたりします。
受験資格は、社会福祉士、介護福祉士などの法定資格を保有し、その資格に基づく業務経験が5年以上(900日以上)、または介護施設などで生活相談員や支援相談員などの相談援助業務経験が5年以上となります。

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リハビリテーションや介護予防に関連する資格

理学療法士

Physical Therapist(PT)とも呼ばれ、身体に障がいを持つ方に対して運動療法や物理療法などを行うリハビリテーションのスペシャリストです。病院・クリニックや介護施設などで活躍しています。理学療法士は国家資格で、養成校を修了後、「理学療法士国家試験」に合格する必要があります。


作業療法士

Occupational Therapist(OT)とも呼ばれ、理学療法士と同様にリハビリテーションの専門家です。理学療法士が座る・歩くなどの基本動作能力の回復を目指すのに対し、より応用的な動作能力や社会的適応能力を回復させるのが作業療法士の役割です。作業療法士も国家資格であり、養成校を修了し、「作業療法士国家試験」に合格すると取得できます。


介護予防運動指導員

高齢者ができるだけ自立した生活を送れるようにサポートする、介護予防のエキスパートが介護予防運動指導員です。専門知識に基づいて、一人ひとりの日常生活に合わせたプログラムを立案し、マシントレーニングや転倒予防体操、尿失禁予防運動などの運動指導を行います。養成校での講座修了時に登録証が交付されます。ただし、介護福祉士や介護支援専門員などの資格を取得ないしは取得見込み者であること、ホームヘルパーや介護職員初任者研修の資格取得者は、資格に加えて2年以上の介護の実務経験が必要など、講座受講には条件があります。


高齢者などのQOL向上に関連する介護の資格

福祉用具専門相談員

福祉用具の専門家として、利用者が介護保険を使って福祉用具をレンタル・購入しようとするときに、その身体的状況や利用環境に応じて福祉用具を選定し、適切な利用方法や使い方をアドバイスする専門家です。福祉用具の活用は利用者のQOL(Quality Of Life)向上に直結することから、それを担う専門職として注目されています。
資格取得には、各都道府県知事の指定を受けた研修事業者が実施する50時間の「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、修了評価試験(筆記)に合格する必要があります。受講資格に制限はなく、介護職の未経験者でも受講することができます。

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要介護者の暮らしをサポートする福祉用具の専門家「福祉用具専門相談員」って?


レクリエーション介護士

高齢者のQOL向上、身体能力・健康の維持のために、より質の高いレクリエーションを企画・実施できる知識と技能を有することを証明する資格です。介護の基本的な知識や、高齢者とのコミュニケ-ション方法のほか、高齢者の状態に合わせて、楽しみながら参加してもらえるレクリエーションを企画、提供するスキルを身につけます。
受験資格に制限はありませんが、等級があり、1級を受験するためには、2級の資格を取得している必要があります。


認知症に関連する介護の資格

認知症介助士

公益財団法人 日本ケアフィット共育機構の認定資格で、認知症についての正しい理解と、認知症の人への適切な支援方法やコミュニケーションについての知識と技能を有することを証明する資格です。受験資格に制限はなく、検定試験は自宅で受験することも可能です。


介護報酬請求業務に関連する介護の資格

介護事務

介護事業所で、介護報酬請求業務(レセプト作成)など、介護事業所の会計事務を行うための知識と技能を有することを証明する資格です。介護付有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、訪問介護事業所など、さまざまな介護事業所に必要不可欠な業務を担うため、活躍できる職場は多数あります。
資格を取得するには、一般財団法人 日本医療教育財団が行う「ケアクラーク技能認定試験」などを受験して、合格する必要があります。受験資格に制限はなく、在宅受験も可能です。

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介護事務のお仕事

各介護資格の位置づけ

介護の資格はさまざまで、どれから取得すればよいか迷ってしまうかもしれませんが、大切なのは自分がやりたいと思うことを実現できる資格を選ぶことです。こちらの図も参考にして、どの資格を取るのが自分にとってベストか、よく考えてみましょう。

介護の資格を取得するメリット

介護のお仕事の求人には、応募にあたって資格不問としているものもあります。そのため、「資格を取得しなくても、介護に関わるお仕事に就くことができればよい」と考える方もいるかもしれません。しかし、介護関連の資格を取得することで、例えば、以下のようなメリットが期待できます。介護職として長期間にわたり、いきいきと活躍するためにも、ぜひ資格の取得を前向きに考えたいところです。

就職・転職の際に専門性を有する証明になる

就職・転職の際に、資格を取得していることで、介護関連の知識や技術があることを客観的に示すことができます。一般的に考えると、例えば未経験で介護のお仕事に就こうとした際、ほかに経験者の応募者がいるとその人が採用される可能性が高くなると考えられますが、介護関連の資格を取得していれば、専門的な知識と技術を持っていることの証明になりますので、未経験でも採用される可能性を高めることができます。

介護への理解が深まる

資格取得のための学習を通して、介護についての理解をより深めることができます。例えば、認知症のお客様と接するときに、予備知識がない状態だと、意思疎通がうまくできずに戸惑う場面があるかもしれません。しかし、資格を取得する際に認知症について学んでいれば、「このようにコミュニケーションをとってみよう」といった対応方法をイメージすることができるかもしれません。
もちろん、介護サービスの現場で長く勤務し、実務経験を重ねることでも理解は深まります。しかし、年月を要さず、また自分が職場で担当していない業務についても学べるという点では、資格を取得することで、より効率的に介護への理解を深められると言えるでしょう。

仕事の幅が広がり、ステップアップにもつながる

介護事業所のお仕事には、資格を必要としないお仕事と、資格を持っていないと行えないお仕事があります。例えば、要介護者の日常家事をサポートする「生活援助」や、介護施設の送迎車の運転などは、介護の資格を必要としません。一方、要介護者の身体に直接触れる「身体介助」(食事や入浴、排せつのサポートなど)は、資格を持っていないと行うことができません。
介護関連の資格を取得すれば、介護職として、より幅広いお仕事に対応できるようになります。また、入門的とされている資格を取得することで、その上位に位置づけられている資格の受験資格が得られる場合もあります。上位の資格を取得すれば、勤務する介護事業所によっては責任の大きな役割を任されることもあるため、スキルを身につけながらステップアップしたいという人には、取得した資格が心強い支えとなるでしょう。

介護の資格を取得する方法

介護の資格を取得する方法は、それぞれの資格によって異なります。また、資格試験を受験するための資格要件が設けられている場合もあります。大きく分けると、資格スクールなどで学ぶ方法と、介護事業所で実務経験を積んで受験資格を得る方法の2つがあると言えます。目標とする資格が定まったら、その資格を取得するために、どのような手順が必要なのか、情報を集めましょう。

スクールなどで学んで取得する

資格スクールなどを利用し、それぞれの資格ごとに定められた所定のカリキュラムを受講・修了することで、資格を取得できたり、試験の受験資格を得る方法です。例えば、入門的な資格の1つに位置づけられる「介護職員初任者研修」などは、この方法で取得することができます。
多くの資格スクールがさまざまな講座を開講しており、通学して学ぶ講座のほかに、通信教育講座なども充実しています。通学と通信教育では、それぞれに一長一短がありますので、「いつ、どのように学ぶか」といった条件や予算なども考えながら、自分に合った方法を選びたいものです。

実務経験が必要な場合

介護職として一定の実務経験があることで、受験が可能になる資格もあります。例えば、国家資格である「介護福祉士」を取得するためには、「介護業務に3年以上従事し」かつ「介護福祉士実務者研修を修了」していることが、受験するための要件として定められています(実務経験ルートの場合)。
実務経験が必要な資格では、日々の介護のお仕事で知識や技術を蓄えながら、並行して自身で学習を進めていく必要があります。

介護のお仕事が未経験の方は、介護業界への最初の一歩、介護職員初任者研修を目指そう

日本全国で需要が高く、訪問介護やデイサービス、有料老人ホームのほか、医療機関などにも活躍の場が広がっている介護のお仕事。今後も高い求人ニーズが見込まれる介護の資格取得を目指すなら、まずは介護職員初任者研修を受講することをおすすめします。

さらに経験を重ねて、介護福祉士ケアマネジャーなどの上位資格を取得すれば、より専門的なお仕事に携わることもできます。まずは、介護職員初任者研修を受講して、介護業界への最初の一歩を踏み出しましょう!

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[初回公開日 2018年03月30日]

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